2027年インバウンドカレンダー|主要国の休暇と訪日ピーク、業種別の料金・キャンペーン計画の立て方

助手セバスチャン

まだ10月なのに、知り合いの旅館の女将さんが「もう来年の料金表を作ってる」って言うんです。さすがに気が早すぎませんか?

行政書士けいしー

むしろ標準的な時期です。欧米やオーストラリアのお客さまは半年から1年前に予約を入れることが多いので、2027年春の料金は、今のうちに決めておかないと売り出しが間に合いません。

助手セバスチャン

でも来年、どの国の人がいつ来るかなんて分かるんですか?

行政書士けいしー

かなりの部分は分かりますよ。各国の休暇日程はすでに発表が進んでいますし、国ごとの「訪日の季節パターン」は統計に出ています。この2つに国内の連休とイベントを重ねると、2027年の需要の山と谷が見えてきます。順番に整理しましょう。

秋は観光事業者にとって、翌年の料金設定と販促計画を固める時期です。とくにインバウンドを相手にする事業では、春節やイースターといった海外の休暇に合わせて料金を変え、それぞれの国の予約が動き出すタイミングで商品を出す必要があります。カレンダーを読み違えると、繁忙期を安売りしてしまったり、閑散期に高い料金を掲げて空室を抱えたりすることになります。

2027年は事情がやや複雑です。2025年に過去最高を記録した訪日客数は、2026年に入って中国市場の大幅な減少で前年割れのペースとなり、市場の中身が大きく入れ替わりました。一方で、横浜でGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)が開かれ、関西ではワールドマスターズゲームズ2027関西が開催されるなど、国内には需要を押し上げる材料もあります。

行政書士けいしー

この記事では、2027年の主要国・地域の休暇日程と、日本政府観光局(JNTO)の月別実績から読み取れる訪日のピークを整理します。そのうえで国内イベントと制度変更を重ね、宿泊・飲食・旅行・バス・物販の業種ごとに、来年の料金設定やターゲット、キャンペーンをどう組み立てるかを解説します。

目次

2027年の訪日市場はどこから考えるか

カレンダーを見る前に、2027年の計画の前提となる市場の状況を確認しておきます。前提を誤ると、休暇日程をどれだけ正確に押さえても、見込む人数そのものがずれてしまうからです。

2025年は4,268万人で過去最高、2026年は前年割れのペース

JNTOによると、2025年の訪日外客数は42,683,301人(前年比15.8%増)で、過去最高を更新しました。市場別では韓国が約946万人、中国が約910万人、台湾が約676万人、米国が約331万人と続きます。

2026年は様子が変わりました。1〜8月の累計は27,626,300人で、前年同期比2.7%減です。月によってはプラスの月もありますが、8月は9.6%減と今年最大の落ち込みになりました。森トラストは2026年通年を前年比2〜5%減の4,050万〜4,200万人と推計しています。2027年の計画を2025年並みの客数で組み立てるのは、楽観的にすぎると考えたほうがよいでしょう。

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中国は半減以下が続き、韓国・台湾が下支え

総数の動き以上に大きいのが、市場の入れ替わりです。2026年1〜8月の主要市場の実績を並べると、その差がよく分かります。

市場2026年1〜8月の訪日客数前年同期比
韓国約742万人+21.2%
台湾約540万人+19.8%
中国約290万人−56.7%
米国約231万人+6.1%
香港約182万人+8.7%
豪州約68万人+3.4%

中国では2025年11月以降、中国政府による日本への渡航自粛の呼びかけが続いており、日中間の航空路線にも運休が広がっていると報じられています。2026年10月の国慶節の連休でも、訪日は例年を大きく下回る見通しと伝えられました。韓国と台湾は大きく伸びて減少分の多くを埋めていますが、すべてを補えてはいません。

「中国の回復」を前提にしない計画を基本形にする

2027年の計画では、中国市場が現状の水準のまま推移しても成り立つ形を基本にすることをおすすめします。渡航自粛がいつ解除されるかは外交の問題で、事業者には予測できません。解除されたとしても、運休した航空便が戻るまでには時間がかかります。

そのうえで、中国からのお客さまが戻った場合の上振れ分は「おまけ」として扱い、受け入れられる体制(中国語の案内、決済手段など)は維持しておく、という二段構えが現実的です。逆に、中国の団体客を前提に組んでいた料金プランや仕入れ計画は、この機会に見直しておきましょう。

主要国・地域の2027年休暇カレンダー

訪日のピークは、各国の大型連休と学校休暇でおおむね決まります。2027年は、東アジアの旧正月が2月上旬、中秋節・秋夕が9月中旬、欧米のイースターが3月下旬に来る配置です。

東アジア:春節は2月上旬、中秋・秋夕は9月中旬

2027年の旧正月(春節)は2月6日です。この前後に、東アジアの各国・地域で大型連休が重なります。

  • 台湾:春節は2月4日〜10日の7連休。清明節(児童節)は4月3日〜6日の4連休で、10月10日の国慶日は日曜のため翌11日が振替休日になると報じられています
  • 香港:春節は2月6日〜9日の4連休。イースターは3月26日〜29日の4連休で、有給休暇を組み合わせると春節は最大9連休、イースターは最大11連休になるとされています
  • 韓国:ソルラル(旧正月)は2月6日〜8日で、週末と重なる分の振替休日が9日に入り、2月6日〜9日の4連休になります。秋夕(チュソク)は9月14日〜16日です
  • 中国:2027年の祝日日程は、国務院が例年11月ごろに発表します。春節(2月6日)を中心とした8〜9日前後の連休、10月1日からの国慶節の連休が見込まれますが、振替出勤日を含めて未確定です

2027年は中秋節が9月15日に来るため、2026年のように国慶節と一体の超大型連休にはなりません。その代わり、9月中旬は韓国の秋夕と中華圏の中秋節が同時に来る週になります。

東南アジア:4月のソンクラーンと年末の学校休暇

タイの旧正月にあたるソンクラーン(水かけ祭り)は、例年4月13日〜15日です。タイからの訪日は、この4月と、10月、12月に山があります。

シンガポールとマレーシアは、11月下旬から12月の年末学校休暇が最大のピークです。また、イスラム教徒の多いマレーシアやインドネシアでは、断食月(ラマダン)明けの大祭(2027年は3月10日前後の見込み。月の観測で確定)の時期に長期休暇を取る人が多く、春先の旅行需要につながります。断食月そのものは2027年2月上旬〜3月上旬ごろにあたる見込みで、この期間は来訪が落ち着く傾向があります。

欧米豪:3月下旬のイースターと、豪州の1月

欧米と豪州の大きな山は、イースター休暇です。2027年のイースター(復活祭)は3月28日で、その前の金曜(3月26日)から翌月曜(3月29日)が多くの国で休日になります。桜の開花期と重なる配置のため、欧州・豪州・北米からの春の需要が3月下旬に集中しやすい年といえます。

米国は春から初夏(3〜6月)と10月の訪日が多く、感謝祭(2027年は11月25日)前後にも動きがあります。豪州は南半球のため、1月(夏休み+日本のスキーシーズン)が年間最大の山で、4月(イースター休暇)、9〜10月(春の学校休暇)、12月が続きます。豪州の学校休暇は州ごとに日程が違う点に注意してください。

時期(2027年)主な休暇対象国・地域
1月年末年始・夏休み(南半球)韓国、豪州
2月4日〜10日前後春節・ソルラル台湾、香港、韓国、中国
3月26日〜29日イースター欧米、豪州、香港
4月3日〜6日清明節台湾ほか中華圏
4月13日〜15日ソンクラーンタイ
7月〜8月夏休み東アジア全般、欧米
9月14日〜16日秋夕・中秋節韓国、中華圏
10月上旬国慶節・開天節・ハングルの日・国慶日中国、韓国、台湾
11月25日感謝祭米国
11月下旬〜12月年末学校休暇・クリスマスシンガポール、マレーシア、欧米豪

※台湾・香港・韓国の日程は各政府の発表を報じた情報に基づきます。中国は2026年10月時点で未発表です。最終的な日程は各国政府の公式発表で確認してください。

月別に見る訪日ピーク:2025〜26年の実績から

休暇日程が分かっても、その国から実際にどれだけの人が来るかは別の話です。ここではJNTOの国籍別・月別データ(2025年の確定値と2026年の推計値)から、市場ごとの季節パターンを読み取ります。

市場2025年の月別最多2025年の月別最少山の時期
韓国12月 97.4万人8月 66.1万人12〜2月、10〜11月
台湾8月 62.1万人2月 50.7万人通年で平準、7〜8月がやや高い
香港12月 29.1万人9月 14.9万人12〜1月、4月、8月
米国6月 34.5万人1月 18.3万人3〜6月、10〜11月
豪州1月 14.0万人8月 4.1万人1月、12月、4月
タイ12月 17.4万人8月 3.5万人12月、3〜4月、10月
シンガポール12月 14.1万人8月 2.1万人11〜12月

1〜2月:韓国と豪州、そして春節

年明けは韓国と豪州が主役です。韓国は2025年1月に96.7万人、2026年1月には117.6万人を記録しました。豪州は1月が年間最大の月で、北海道や長野のスキーリゾートに集中します。2月上旬は春節で台湾・香港・韓国が重なりますが、2027年の春節は2月6日と早いため、1月中旬から2月中旬まで、東アジアと豪州の需要が途切れずに続く形になりそうです。

3〜5月:桜と欧米豪・東南アジア

3月から5月は、市場の顔ぶれが最も多様になる時期です。米国は2025年3月に34.3万人と前月の1.8倍に跳ね上がり、6月まで30万人台を保ちました。英国・ドイツ・フランスも4月が年間の最多月です。タイは3〜4月にソンクラーンを含む山があり、2025年4月は15.8万人でした。

2027年は、イースター(3月26〜29日)と桜の時期、GREEN×EXPO 2027の開幕(3月19日)、日本の3連休(3月20〜22日)が近い時期に集まります。客室や貸切車両の取り合いが起きやすい期間として、早めに料金を設定しておくべきでしょう。

6〜9月:東アジアの夏と、それ以外の閑散

夏は東アジアの市場が中心になります。台湾は2025年8月に62.1万人で年間最多、香港も8月に山があります。一方で、シンガポールは7〜8月に2万人台、タイは8月に3.5万人、豪州も4万人台と、東南アジアと豪州は年間の底にあたります。欧米も4〜5月に比べると落ち着きます。

6月は梅雨の影響もあって、国内客・訪日客ともに谷になりやすい月です。9月も中旬の秋夕・中秋節の週を除けば需要は弱めで、2025年の香港は9月が年間最少でした。閑散期のキャンペーンを打つなら6月と9月上旬が候補になります。

10〜12月:紅葉の秋と年末休暇

秋は再び市場が広がります。韓国は10月の連休で一段上がり(2025年10月は86.7万人)、米国・欧州も10月に春に次ぐ山を作ります。11月下旬からはシンガポール・マレーシアの年末学校休暇に入り、12月はタイ・シンガポール・香港・韓国がそろって年間最多の月になります。

12月は「アジアの年末休暇」の月として、日本人の忘年会需要とは別の需要が立ち上がる点を押さえておきたいところです。国内需要だけを見て12月前半を閑散期扱いにしていると、インバウンド向けの料金を安く出しすぎることになりかねません。

2027年の国内イベントと制度変更

海外の休暇に、国内の連休とイベントを重ねます。インバウンドのピークと日本人の連休が重なる日は、料金を最も強く設定できる一方で、人手と在庫が足りなくなる日でもあります。

日本の祝日:GW最大7連休、3連休は5回

2027年の日本の祝日は、次のような配置になっています。

  • ゴールデンウィーク:5月1日(土)〜5日(水)の5連休。4月30日(金)を休めば4月29日から最大7連休
  • 3連休:1月9〜11日(成人の日)、3月20〜22日(春分の日の振替休日)、7月17〜19日(海の日)、9月18〜20日(敬老の日)、10月9〜11日(スポーツの日)の5回
  • シルバーウィークはなし:敬老の日(9月20日・月)と秋分の日(9月23日・木)の間に平日が2日入る
  • 山の日(8月11日)は水曜で、お盆休みとの組み合わせ次第

注目したいのは、10月9〜11日の3連休に韓国の連休が重なる可能性です。韓国では10月9日のハングルの日が土曜にあたるため、振替休日の制度により11日(月)が休みになる見込みです(最終的な日程は韓国政府の発表で確認が必要です)。同じく9月18〜20日の3連休も、秋夕の休暇の直後で、韓国から休暇を延ばして来る人と日本人の連休がぶつかります。

GREEN×EXPO 2027(横浜・3月19日〜9月26日)

横浜市の旧上瀬谷通信施設を会場に、2027年3月19日から9月26日までの192日間、国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」が開かれます。博覧会のクラスは最上位のA1で、主催者は有料来場者1,000万人以上を見込んでいます。59の国・機関の「ナショナルデー」の日程も決まっており、各国の要人や関係者の来訪も見込まれます。

神奈川・東京の宿泊施設や飲食店、貸切バス事業者にとっては、半年にわたる需要の底上げ要因になります。ただし、2025年の大阪・関西万博で見られたように、会期中の需要は会場周辺と特定の時期に偏りやすく、閉幕後は前年比で大きな反動が出ます。2028年の計画まで見越して、設備投資や人員の増強は会期中だけで回収できるかを確かめておきましょう。

ワールドマスターズゲームズ2027関西(5月14日〜30日)

おおむね30歳以上なら誰でも参加できる国際スポーツ大会で、2027年5月14日から30日まで、関西を中心とする13府県・政令市で35競技が行われます。目標は国内3万人・国外2万人の計5万人の参加者です。

参加者の多くは家族や同伴者を連れて来日し、競技の前後に観光する傾向があります。GWが明けて需要が落ち着く5月中旬から下旬に、関西一円で宿泊や移動の需要が生まれる点は、地元の事業者にとって貴重です。競技会場に近い地域では、大会の組織委員会や自治体の動きを追い、宿泊や観光プランの受け入れ体制を早めに整えておくとよいでしょう。

出国税3,000円と、免税のリファンド方式

2027年は、2026年に始まった2つの制度変更が通年で効く最初の年でもあります。

1つは、国際観光旅客税(出国税)の引き上げです。2026年7月1日以後の出国から、1人1回あたり1,000円から3,000円になりました。訪日客の旅行費用全体から見れば小さな額ですが、短期で何度も来るリピーター(韓国・台湾など近距離市場に多い)には、積み重なる負担になります。

もう1つは、2026年11月から始まった免税制度のリファンド方式への移行です。購入時には消費税を含めて支払い、出国時に確認を受けてから返金される仕組みに変わりました。お客さまから見ると「その場で安くならない」ため、店頭の表示や接客での説明の仕方が、販促の成否に関わります。

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業種別:2027年の料金設定・ターゲット・キャンペーン

ここまでのカレンダーを、業種ごとの計画に落とし込みます。どの業種にも共通する考え方は、ピークを安売りせず、谷を狙って販促費を使うことです。

宿泊施設・民泊:需要ランク表で料金を段階化する

宿泊業でまず作っておきたいのが、2027年の365日を需要の強さで3〜5段階に分けた「需要ランク表」です。ここまで見た海外の休暇、国内の連休、イベントを重ねていくと、たとえば次のような最上位ランクの日が浮かび上がります。

  • 1月上旬(年始+韓国・豪州)と、2月4日〜10日前後(春節)
  • 3月19日〜4月6日(EXPO開幕、桜、イースター、清明節)
  • 4月29日〜5月5日(GW)
  • 9月11日〜20日(秋夕・中秋節+国内の3連休)、10月1日〜11日(国慶節+韓国・日本の連休)
  • 12月下旬〜年末年始

最上位ランクの日は、料金を上げるだけでなく、連泊を条件にする(最低泊数の設定)、キャンセル料を早めの時期からかかるようにするといった販売条件で守るのが効果的です。逆に6月や9月上旬は、国内客向けの連泊割や平日プランで稼働を拾います。

ターゲットについては、中国市場の比率が高かった施設ほど、韓国・台湾に加えて、予約時期が早く滞在の長い欧米豪の取り込みを検討する価値があります。欧米豪向けの春・秋の料金は、2026年内にOTA(オンライン旅行予約サイト)に載せておくのが目安です。住宅宿泊事業(民泊)の場合は、年間180日の上限があるため、営業日をピークの日に寄せることで収益を最大化できます。

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飲食店:ピーク日は予約と事前決済、谷は地元客

飲食店の2027年計画では、ピーク日の「取りこぼし」と「無断キャンセル」の対策を先に決めておくのが効率的です。訪日客が集中する日は予約制にして、コース料理と事前決済を組み合わせると、席の回転と客単価の両方を管理できます。2026年の統計では、訪日客の人数が減る中でも飲食費は増えており、1人あたりの注文を厚くする設計が合っています。

ターゲットの設定では、市場ごとの食習慣にも目を向けたいところです。マレーシアやインドネシアからのお客さまが増える3〜4月(断食月明け)には、ハラール対応や豚肉・アルコールを使わないメニューの有無が店選びを左右します。欧米豪のお客さまが多い3〜5月と10月は、菜食向けのメニューや英語での食材表示が効果を発揮します。

閑散期の6月と9月上旬は、インバウンドではなく地元客と国内旅行者に向けた施策の出番です。この時期にポイント還元や季節限定メニューを出し、ピーク期に地元のお客さまが入りにくくなる分の関係を補っておくと、年間を通じた売上が安定します。

旅行会社・観光ガイド:市場ごとに販売時期をずらす

旅行商品は、市場によって予約のリードタイム(予約から出発までの期間)が大きく違います。欧米豪は半年から1年前に旅程を決める人が多いため、2027年春・秋のツアーは2026年内から販売を始める必要があります。一方、韓国・台湾・香港の個人客は、数週間前から直前の予約が中心です。同じ「2027年春の商品」でも、販売を始める時期を市場ごとに分けて計画しましょう。

2027年ならではの商品素材としては、GREEN×EXPO 2027と、ワールドマスターズゲームズ2027関西があります。とくにワールドマスターズゲームズは、国外から2万人の参加者と、その同伴者が来日する予定です。競技日程の前後に組める半日・1日の観光プランは、ほかの時期にはない需要になります。

なお、海外の旅行会社から依頼を受けて、日本国内のホテルやバス、ガイドの手配を代行する場合は、旅行業登録か、旅行サービス手配業の登録が必要になります。商品の企画に入る前に、自社の業務がどの登録で行えるかを確認しておきましょう。

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観光バス・観光タクシー:値下げではなく「平準化」で稼ぐ

貸切バスの料金設定には、ほかの業種にはない制約があります。運賃と料金は国に届け出る必要があり、国土交通省の地方運輸局が公示する運賃の範囲(上限額と下限額)の中で設定しなければなりません。

一般貸切旅客自動車運送事業者は、旅客の運賃及び料金を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

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道路運送法第9条の2第1項より

閑散期のキャンペーンで公示の下限額を下回る運賃で契約することはできません。そのため、バス事業者の閑散期対策は値下げではなく、旅行会社や宿泊施設と組んだ「平日限定の貸切プラン」の提案や、ワールドマスターズゲームズのような大会の輸送案件の確保といった、需要を作る方向になります。

ピーク期の課題は、車両よりも乗務員です。2024年4月から改善基準告示で拘束時間の上限が厳しくなっており、3月下旬や秋の繁忙期に受注を詰め込みすぎると、乗務員の手配が追いつかなくなります。2027年の繁忙期の受注は、需要ランク表と乗務員の勤務計画を突き合わせたうえで受けるようにしましょう。観光タクシーの運賃も、地方運輸局の認可を受けた範囲で設定するもので、自由な値下げキャンペーンはできない点は同じです。

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物販・ギフトショップ:12月と春に売り場を合わせる

物販では、2027年がリファンド方式で迎える最初の通年になる点が大きな変化です。購入時の価格が税込みになるため、「免税で10%お得」という訴求は、レジで返金されるわけではないことを含めて正確に伝える必要があります。店頭の表示は、「出国時の手続きで消費税分が返金されます」のように、仕組みが分かる言い方に変えておくと安全です。

販促のピークは、アジアの年末休暇にあたる12月と、春節・桜の時期です。12月はタイ・シンガポール・香港・韓国からの来店がそろって増えるため、年末の売り場や在庫の計画は、国内の歳暮・年始商戦とは別枠で考えましょう。中国からの団体客を前提にした品揃え(大量買いの家電・化粧品など)を続けている場合は、韓国・台湾の個人客に人気のある食品や雑貨、地域限定の土産物に比重を移すことも検討に値します。

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共通の注意点:キャンペーン価格の表示と景品表示法

どの業種でも、キャンペーンを打つときに気をつけたいのが価格の表示です。「通常価格12,000円のところ、春の特別価格8,000円」といった二重価格表示は、景品表示法の有利誤認表示にあたるおそれがあります。

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

不当景品類及び不当表示防止法第5条より

消費者庁の考え方(価格表示ガイドライン)では、比べる「通常価格」は、最近相当期間にわたって実際に販売されていた価格であることが求められます。目安は、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、過半の期間その価格で販売していたことです。日によって料金が変わる宿泊施設の場合、「通常価格」と呼べる固定の価格がそもそもないことも多いため、比較表示は使わず、「6月限定・連泊で1泊あたり○円」のように条件と価格だけを示すほうが安全です。

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根拠法令:不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索)、道路運送法(e-Gov法令検索)

まとめ:2027年の計画は「需要ランク表」から始める

2027年のインバウンド市場は、総数では2025年の水準を下回り、中国が大きく減る一方で韓国・台湾・欧米豪が伸びる構図のまま始まる可能性が高いと考えられます。カレンダーの上では、2月上旬の春節、3月下旬のイースターと桜とEXPO開幕、9月中旬の秋夕・中秋節、10月上旬の連休、12月のアジアの年末休暇が大きな山です。反対に、6月と9月上旬は国内外とも需要が弱い谷になります。

これを来年の計画に落とし込む手順を、時期ごとに整理しておきます。

STEP1 2026年10〜11月:自社の実績を国別・月別に整理する 2025〜26年の予約データを国籍別・月別に集計し、どの市場がいつ来ているかを確認します。11月ごろに中国の2027年の祝日が発表されたら、カレンダーに反映します。

STEP2 2026年11〜12月:需要ランク表と料金・販売条件を決める 2027年の365日を需要の強さで段階分けし、ランクごとの料金、最低泊数、キャンセル規定を決めます。

STEP3 2026年12月〜2027年1月:欧米豪向けの春・秋の商品を出す 予約の早い欧米豪向けに、EXPOや桜、紅葉を組み込んだ商品をOTAや旅行会社に提供します。

STEP4 2027年1〜2月:閑散期のキャンペーンを設計する 6月と9月上旬に向けた国内客・地元客向けの施策を、景品表示法に注意して準備します。

STEP5 2027年の四半期ごと:JNTOの月次統計で見直す 毎月中旬に発表される訪日外客数を確認し、市場の動きに合わせて料金と販促を調整します。

各国の休暇日程は、政府の発表によって変わることがあります。とくに中国の2027年の祝日はまだ発表されていません。この記事の日程は2026年10月時点の情報に基づくものなので、料金表を確定する前に最新の発表を確認してください。統計の数値も、推計値は後日改定されます。カレンダーを早めに作り、新しい情報が出るたびに書き換えていくことが、2027年の計画を外さないいちばんの近道です。

出典

  • 訪日外客統計(日本政府観光局(JNTO))国籍/月別 訪日外客数(2025年確定値・2026年推計値) https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
  • GREEN×EXPO 2027 イベント概要(トラベルボイス、2026年9月15日) https://www.travelvoice.jp/20260915-160518
  • ワールドマスターズゲームズ2027関西 大会概要(京都市資料) https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/cmsfiles/contents/0000348/348356/251209_siryou1_WMGkansaitaikaigaiyou.pdf
  • 香港・台湾の2027年祝日(訪日ラボ) https://honichi.com/news/2026/05/25/hongkong-holiday/ 、https://honichi.com/news/2026/06/01/taiwan-holidays-2027/
  • 26年訪日客は2〜5%減(日本経済新聞・森トラスト推計) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1413C0U6A710C2000000/
助手セバスチャン

国ごとの休暇と統計を重ねると、2027年の山と谷がちゃんと見えてくるんですね。3月下旬はイースターと桜とEXPOが全部重なる、6月と9月上旬は谷、と。料金表、今から作ります!

行政書士けいしー

いい流れです。一つだけ付け加えると、中国の祝日がまだ発表されていないので、表は「確定版」ではなく「11月に一度書き換える前提の版」として作っておくと楽ですよ。

助手セバスチャン

なるほど。じゃあ最上位ランクの日は料金を思い切って5倍にして、看板に「通常価格の5分の1でご案内!」って書いておきますね。

行政書士けいしー

値上げした料金を基準に割引をうたうのは、さっき説明した二重価格表示そのものです。料金表より先に、景品表示法の項目を読み直しましょう。

目次