助手セバスチャン訪日外国人の数がついにプラスに戻ったってニュースで見ました。



2026年7月の訪日外客数は前年同月比0.1%増で、たしかに4か月ぶりのプラスです。ただ、戻ったのは総数だけなんですよ。



総数だけ…?ほかに何が動いてるんですか?



中身が入れ替わっています。中国からのお客さまが半分近くまで減って、その分を韓国・台湾・香港の伸びが埋めた形です。総数だけを見て「元に戻った」と判断すると、来店するお客さまの顔ぶれを読み違えます。今月はこういう「総数と中身がズレる数字」が多い月なので、順番に見ていきましょう。
観光業で開業や新規事業を考えるとき、事業計画の出発点になるのが「いま市場はどうなっているのか」という感覚です。とはいえ観光関連の統計は、観光庁と日本政府観光局(JNTO)から複数の調査がそれぞれ別のタイミングで公表されるため、全体像をつかむのは簡単ではありません。
この記事では、2026年9月時点で公表されている主要な観光統計を整理し、それぞれの数字が開業準備中の事業者にとってどういう意味を持つのかまで踏み込んで解説します。
先に結論をお伝えすると、今月のキーワードは「総数だけを見ると読み違える」です。訪日外客数は総数が前年並みに戻りましたが市場構成は入れ替わっています。国内旅行にいたっては、消費額が11.7%増という統計と、延べ宿泊者数が8.4%減という統計が同じ月に出ています。どちらか一方だけを引用すると、事実と違う印象を与えかねません。
2026年9月時点の観光統計まとめ
まず、今月確認できる統計とその対象期間を整理しておきましょう。観光統計は調査ごとに対象期間がバラバラで、同じ「最新」でも見ている時期が違います。ここを揃えずに比較すると、実態を読み違えます。
今月確認できる統計と対象期間
2026年9月時点で参照できる主要統計は、次の5つです。
| 統計名 | 実施機関 | 対象期間 | 公表段階 |
|---|---|---|---|
| 旅行・観光消費動向調査 | 観光庁 | 2026年4-6月期 | 1次速報 |
| 旅行業者取扱額 | 観光庁 | 2026年6月 | ― |
| 宿泊旅行統計調査 | 観光庁 | 2026年6月(一部7月) | 第2次速報値(7月は第1次速報値) |
| インバウンド消費動向調査 | 観光庁 | 2026年4-6月期 | 1次速報 |
| 訪日外客統計 | 日本政府観光局(JNTO) | 2026年7月 | 推計値 |
訪日外客数は4か月ぶりプラス、ただし客層は総入れ替え
結論から言うと、2026年7月の訪日外客数は3,442,100人(前年同月比0.1%増)で、4か月ぶりに前年を上回りました。ただし、市場別の内訳を見ると「回復」という言葉では説明しきれない動きが起きています。
総数0.1%増の中身:中国56.1%減、韓国・台湾・香港が2桁増
まず2026年の推移を確認しておきましょう。1月が4.9%減、2月が6.4%増、3月が3.5%増、4月が5.5%減、5月が3.6%減、6月が6.8%減、そして7月が0.1%増です。プラスは3月以来4か月ぶりということになります。
問題は中身です。7月の主要市場別の数字は次のとおりです。
| 市場 | 訪日外客数(2026年7月) | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 韓国 | 894,700人 | +31.9% |
| 台湾 | 763,800人 | +26.4% |
| 中国 | 428,200人 | −56.1% |
| 米国 | 286,200人 | +3.3% |
| 香港 | 272,500人 | +54.8% |
| 総数 | 3,442,100人 | +0.1% |
中国が半分以下に減り、その減少幅を韓国・台湾・香港の2桁増が人数ベースで相殺した結果として、総数がゼロ近傍まで戻ったという構図です。総数だけを見て「インバウンドが戻った」と読むと、客層の入れ替わりを丸ごと見落とすことになります。
なお、中国市場がなぜこれだけ減ったのかは、この統計だけからは判断できません。航空便数や渡航環境など外部要因の確認が必要ですので、原因を断定した前提で計画を立てるのは避けたほうが安全です。また韓国の31.9%増という数字は、前年同月がどの水準だったかにも左右されます。
宿泊統計(6月)でも同じ方向が出ている
この市場構成の変化は、訪日外客統計だけの一時的な振れではないようです。対象月は1か月ずれますが、宿泊旅行統計調査の2026年6月・国籍別の外国人延べ宿泊者数でも、同じ方向が出ています。
台湾が1,857,580人泊(前年同月比14.7%増)、香港が494,030人泊(同20.7%増)、米国が1,827,880人泊(同0.5%増)と伸びる一方、中国は1,307,940人泊(同50.9%減)でした。韓国は1,312,780人泊(同8.1%減)と訪日外客数とは逆方向ですが、中国の大幅減と台湾・香港の増加という方向は、2つの統計で一致しています。上位5か国・地域で全体の62.6%を占めています。
ここで一点だけ技術的な注意があります。この国籍別の集計は客室数20室以上の施設を対象としたもので、合計は10,863,490人泊です。全国の外国人延べ宿泊者数12,219,870人泊とは母数が違いますので、この2つを混ぜて比率を計算しないでください。社内資料でシェアを出すときに間違えやすい箇所です。
物販・飲食への含意:総数ではなく構成を見る
では、この数字は現場にとって何を意味するのでしょうか。とくに影響が出やすいのが、免税店やギフトショップなどの物販業態です。
中国からのお客さまの購買単価や購買品目を前提にした品揃えは、実際に来店するお客さまの構成と合わなくなっている可能性が高いと考えられます。半減という規模は、単月の振れとして片付けられる水準ではありません。総数が前年並みに戻ったことをもって「これまでどおりで大丈夫」と判断すると、在庫構成を読み違えるおそれがあります。
一方で、近距離の東アジア(韓国・台湾・香港)が伸びていることをもって「リピーター向けの品揃えに寄せればよい」と決め打ちするのも早計です。リピーター比率のような属性は、今回見ている統計からは確認できません。品揃えの見直しを検討するなら、統計の市場別数値を出発点にしつつ、最終的には自店の実際の来店客層で確認するのが確実です。開業準備中で自店データがない段階であれば、複数の客層を想定した幅のある計画にしておくことをおすすめします。
国内は統計によって景色が変わった月
ここが今月いちばん扱いに注意が要る部分です。日本人の国内旅行について、2つの統計が正反対の方向を向いています。どちらか一方だけを引用すると、事実と違う印象を与えてしまいます。
旅行・観光消費動向調査(4-6月期):消費額11.7%増、単価6.8%増
まず旅行・観光消費動向調査(観光庁・1次速報)から見ていきましょう。2026年4-6月期の日本人国内旅行(日帰りを含む)の旅行消費額は75,361億円(前年同期比11.7%増)、延べ旅行者数は14,958万人(同3.3%増)でした。国内宿泊旅行の1人1回あたり旅行単価は76,947円(同6.8%増)です。
四半期だけでなく6月単月で見てもプラスで、消費額が22,560億円(前年同月比9.0%増)、延べ旅行者数が4,755万人(同0.9%増)となっています。消費額の伸びが人数の伸びを上回っているため、増加分の多くは単価の上昇によるものと考えられます。この構図自体は前回レポートから続いている傾向です。
宿泊旅行統計調査(6月):延べ宿泊者数8.4%減
ところが、宿泊旅行統計調査(観光庁・第2次速報値)を見ると景色が変わります。2026年6月の延べ宿泊者数は45,815,140人泊(前年同月比8.4%減)でした。内訳は日本人が33,595,270人泊(同6.3%減)、外国人が12,219,870人泊(同14.0%減)です。
外国人の減少が大きいのは前節までの流れで理解できますが、日本人だけを取り出しても6.3%減です。同じ6月について、消費動向調査の日本人宿泊旅行の延べ旅行者数は2,443万人(前年同月比3.1%増)ですから、日本人どうしで比べても符号が逆になっています。
なぜ逆になるのか:「旅行回数」と「人泊」は別物
この食い違いには、いくつか理由が考えられます。
第一に、2つは別の調査で、数えているものが違います。消費動向調査の「延べ旅行者数」は旅行の回数を数えたものです。これに対して宿泊統計の「延べ宿泊者数」は人泊、つまり人数に泊数を掛けたものです。旅行の回数が増えても、1回あたりの泊数が短くなれば人泊は減りうる、という関係にあります。
ただし、「1回あたりの泊数が短くなった」という説明を裏づけるには、平均泊数の時系列を確認する必要があります。4-6月期の平均泊数は2.01泊ですが、前年同期の水準を確認できていないため、現時点でこれを原因として断定することはできません。
第二に、調査の性質そのものが違います。消費動向調査は世帯(旅行する側)への標本調査であるのに対し、宿泊統計は宿泊施設側への調査です。民泊や知人宅への宿泊などをどこまで捕捉できるかも、両者で異なると考えられます。
第三に、宿泊統計側には後述する層化基準の変更という統計上の断層があり、前年同月比に見直しの影響が含まれている可能性を観光庁自身が明記しています。
事業計画に引用するときの書き方
実務的にいちばん大事なのはここです。「国内旅行が好調」とも「国内旅行が失速」とも、単独では書けません。必ず「どの統計の、どの期の、何の数字か」をセットで書いてください。
たとえば融資資料や社内の企画書であれば、次のような書き方になります。
2026年4-6月期の日本人国内旅行消費額は前年同期比11.7%増(旅行・観光消費動向調査・1次速報)。一方、2026年6月の延べ宿泊者数は前年同月比8.4%減(宿泊旅行統計調査・第2次速報値)。両調査は対象・集計単位が異なる。
一見すると回りくどいのですが、都合のよい数字だけを並べた資料は、審査する側が別の統計を知っていた場合に信頼性を失います。両方を併記したうえで、自社の事業がどちらの動きに近いかを説明するほうが、結果として説得力が出ます。宿泊業なら人泊ベースの数字を、日帰り施設や飲食店なら旅行回数ベースの数字を主に見る、という使い分けが目安になります。
宿泊は「都市型が下がり、旅館・リゾートが上がる」が2か月続いた
宿泊分野では、施設タイプによって方向がはっきり分かれる状態が続いています。前回レポートでも触れた動きですが、今月はこれが2か月連続で確認できた点が新しいところです。
施設タイプ別の客室稼働率(6月・7月速報)
2026年6月の客室稼働率は全体で57.2%(前年同月差1.6ポイント減)でした。施設タイプ別に見ると次のとおりです。
| 施設タイプ | 2026年6月(第2次速報値) | 前年同月差 | 2026年7月(第1次速報値) | 前年同月差 |
|---|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 71.5% | −1.3ポイント | 74.2% | −0.5ポイント |
| シティホテル | 69.2% | −3.3ポイント | 71.9% | +0.3ポイント |
| リゾートホテル | 50.8% | +0.2ポイント | 59.6% | +2.7ポイント |
| 旅館 | 36.7% | +1.7ポイント | 40.6% | +3.4ポイント |
| 簡易宿所 | 26.1% | −2.1ポイント | 30.9% | −1.9ポイント |
| 全体 | 57.2% | −1.6ポイント | 60.8% | −0.4ポイント |
高稼働だった都市型(ビジネス・シティ)が下がり、低稼働だった旅館・リゾートが上がるという逆方向の動きです。稼働率が80%を超えた都道府県数も、ビジネスホテルが1(前年同月も1)、シティホテルは0(前年同月は1)と減っています。全体で最も高かったのは東京都の75.4%でした。
ただし7月分は第1次速報値であり、2026年9月30日公表予定の第2次速報で改定されます。「2か月連続」と説明する場合は、7月が速報段階であることを添えてください。
地域差:三大都市圏16.8%減と地方部7.4%減
地域別に見ると、外国人延べ宿泊者数は三大都市圏が16.8%減、地方部が7.4%減で、減少幅は都市圏のほうが大きくなっています。前節の「都市型ホテルの稼働低下」と方向が整合的です。
都道府県別の延べ宿泊者数(6月)では、大阪府23.8%減、佐賀県19.5%減、三重県19.2%減、沖縄県16.0%減、大分県16.0%減、東京都15.9%減、京都府15.0%減が減少した一方、秋田県34.4%増、高知県30.5%増、茨城県28.3%増、山口県22.8%増、鳥取県18.7%増と、地方県で大きく伸びたところがあります。
ここで数字の扱いについて2点、注意があります。ひとつは、栃木・群馬・千葉・富山・福岡・宮崎の6県は標準誤差率が20%を超えている(報道発表資料4ページ備考)ため、単独の県名を根拠にした判断は避けるべきだという点です。上の列挙からもこの6県は外してあります。もうひとつは、延べ宿泊者数の前年同月比は「前年の確定値との比較」であり、第2次速報どうしの比較ではないという点です。
大阪23.8%減は「万博の反動」──2025年との比較である点
大阪府の23.8%減という数字を見て、関西の観光需要が落ち込んでいると読むのは誤りです。2025年4月13日から10月13日まで、大阪市此花区・夢洲で大阪・関西万博が開催されていました。つまり2026年4月から10月の前年同月比は、万博開催期間との比較になります。
観光庁の【参考】資料「大阪・関西万博期間中の国内旅行市場の変動」(旅行・観光消費動向調査 トピックス分析)によると、「大阪府」を主目的地とする2025年の国内宿泊延べ旅行者数は前年に比べ大幅に増加し、とくに7-9月期は前年の2倍近く(前年同期比90%増)、日帰りは同期に前年の3倍に拡大したとされています。一方、「大阪府」以外では2025年4-6月期は千葉県を除き軒並み前年比マイナスでした。
したがって2026年6月の大阪府23.8%減は、万博で大きく押し上げられた2025年6月との比較として読む必要があります。京都府の15.0%減も同様です。この期間の資料で、該当地域の減少を「需要減退」と書かないでください。
ただし、この【参考】資料は旅行・観光消費動向調査(「主な目的地」ベース・延べ旅行者数)であり、宿泊旅行統計調査(施設所在地ベース・延べ宿泊者数)とは調査も概念も違います。大阪府の23.8%減という宿泊統計の数字に、この資料の数値をそのまま当てはめることはできません。「2025年の大阪が万博で押し上げられていた」という基準年の水準についての根拠として使うのが正しい使い方です。なお同資料は近畿以外の地方が2025年に概ね前年並みだったとしているため、全国計の動きを万博の反動だけで説明することもできません。
【注意】層化基準の変更という統計上の断層
もう一点、宿泊統計を読むうえで欠かせない前提があります。宿泊旅行統計調査は2026年1月調査分から、施設の層化変数が「従業者数」から「客室数」に変更されています(客室数20室以上は全数調査、1〜19室はサンプル調査)。
報道発表資料には「対前年(同月)比、対前年(同月)差については、見直しの影響が含まれている可能性がある点に留意」と明記されています。この設計変更は小規模施設ほど影響を受けやすいため、旅館の1.7ポイント上昇をそのまま実勢の改善と読むことはできません。
開業を検討中なら:稼働率よりADRで差がつく局面
では開業準備の観点では、この数字をどう使えばよいでしょうか。
大都市で新規開業を検討しているなら、稼働率を伸ばす前提の事業計画は一度置き直したほうがよいというのが率直なところです。シティホテルで80%超の都道府県が1から0になり、外国人宿泊も都市圏(16.8%減)が地方部(7.4%減)より大きく減っています。とくにインバウンド稼働に依存した都市型の想定は、見直す価値があります。差がつくのは稼働率よりもADR(客室単価)だと考えられます。
一方、地方の旅館・リゾート型は稼働に改善余地が出ている段階ですが、ここは冷静に見る必要があります。旅館の稼働率は36.7%と、絶対水準では依然として低いのです。ビジネスホテルの71.5%とは倍近い開きがあります。今回の話は「旅館が好調でビジネスホテルが不振」という水準の話ではなく、あくまで変化の方向の話です。「上がっている」ことと「儲かる水準にある」ことは別だと考えてください。
主要旅行業者の国内取扱いだけが市場と逆に減っている
最後に、旅行業者取扱額を見ておきましょう。ここにも、市場全体と逆を向いた数字が出ています。
募集型企画旅行の取扱人数は約2割減
2026年6月の主要旅行業者43社・グループの総取扱額は、国内旅行1,751億円(前年同月比92.1)、外国人旅行167.1億円(同102.5)、海外旅行1,220.5億円(同107.6)、合計3,138.8億円(同98.1)でした。国内旅行だけがマイナスです。
旅行商品ブランド(募集型企画旅行)に絞ると、国内旅行の落ち込みはさらに大きくなります。取扱額608.5億円(前年同月比90.6)に対し、取扱人数は1,331,515人(前年同月比80.3)、つまり約2割減です。同じ6月に、市場全体の日本人国内旅行消費額は前年同月比9.0%増でした。
市場全体が伸びる一方で主要旅行業者の国内取扱いが減っているということは、旅行会社のパッケージを経由しない旅行の比率が上がっている可能性が考えられます。また、取扱人数(80.3)が取扱額(90.6)より大きく落ちていることからは、減っているのが単価の低い層や団体商品側である可能性も考えられます。
実務的な含意としては、国内パッケージを主力にしている旅行業者にとっては、市場が伸びている中で自社商品が選ばれていない可能性を疑う局面だということになります。海外旅行(107.6)とインバウンド向け(102.5)は伸びているため、取扱分野の構成をどうするかが当面の論点です。
貸切バス事業者にとっても他人事ではありません。募集型企画旅行(国内)の取扱人数が約2割減ということは、団体・パッケージ経由の車両手配数に直結します。団体パッケージからの受注を前提にした稼働計画は、今の水準では下振れしやすいと考えられます。個人・少人数の受注チャネルをどれだけ持っているかで差が出る局面です。
ただし「43社・グループの集計」という限定
ここで必ず添えておかなければならない前提があります。この数字は主要旅行業者43社・グループの合計であって、業界全体の数値ではありません。中小の旅行業者やOTA(オンライン旅行会社)の動きは含まれていません。
したがって、この数字をもって「旅行会社離れが起きている」と一般化して書くことはできません。「パッケージ経由の比率が下がっている」という見方も、2つの統計の差から推測したものにすぎず、流通経路別のシェアを直接示すデータがあるわけではありません。裏づけには別の資料が必要です。また、これは6月単月の比較であり、四半期や年間で同じ方向が出るかどうかは確認できていません。
自社の事業計画に使うのであれば、「大手43社・グループの国内取扱いは減っているが、市場全体は伸びている」という事実関係までにとどめ、そこから先は自社の受注データで確かめるのが安全です。
まとめ:2026年9月の観光市場をどう読むか
2026年9月時点の観光統計に共通しているのは、「総数だけを見ると読み違える」という点です。
訪日外客数は2026年7月に前年同月比0.1%増と4か月ぶりのプラスに転じましたが、中身は中国が56.1%減、韓国・台湾・香港が2桁増という総入れ替えでした。宿泊統計(6月)でも中国50.9%減、台湾14.7%増と同じ方向が出ています。総数の回復と客層の入れ替わりは、分けて考える必要があります。
国内旅行については、2026年4-6月期の旅行消費額が前年同期比11.7%増(旅行・観光消費動向調査・1次速報)である一方、2026年6月の延べ宿泊者数は前年同月比8.4%減(宿泊旅行統計調査・第2次速報値)でした。2つの調査は数えているものが違うため、どちらか一方だけを引用しないことが重要です。
宿泊分野では、都市型(ビジネス・シティ)が下がり旅館・リゾートが上がる動きが2か月続きました。ただし旅館の絶対水準は36.7%と依然低く、変化の方向と収益水準は別の話です。旅行業では主要43社・グループの国内取扱いだけが市場と逆に減っています。
これから開業を検討している方にとっての実務的な含意は、「市場全体が伸びているか」ではなく「自分の業態・立地・客層の数字がどう動いているか」で計画を立てるということだと考えられます。今月はとくに、全国計や総数と、業態別・市場別の数字が逆を向いている場面が多くなっています。
※なお、この記事で扱った数値はすべて速報値・推計値であり、後日改定されます。旅行・観光消費動向調査は今回1次速報の段階、宿泊旅行統計の7月分は第1次速報値です。また宿泊旅行統計は2026年1月調査分から層化基準が変更されており、前年比較には統計上の断層が含まれている可能性があります。2026年4月から10月の前年同月比は大阪・関西万博期間との比較になる点にもご留意ください。事業計画や融資資料に引用する際は、対象期間と公表段階を必ず明記し、最新の公表値をご確認ください。
出典
- 旅行・観光消費動向調査(観光庁)2026年4-6月期 1次速報 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shohidoko.html
- 【参考】大阪・関西万博期間中の国内旅行市場の変動(観光庁) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002007562.pdf
- 旅行業者取扱額(観光庁)2026年6月 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/ryokogyotoriatsukaigaku.html
- 宿泊旅行統計調査(観光庁)2026年6月 第2次速報値(7月は第1次速報値) https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html
- インバウンド消費動向調査(観光庁)2026年4-6月期 1次速報 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html
- 訪日外客統計(日本政府観光局)2026年7月 推計値 https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/



いや〜、危なかったです。「訪日客プラス転換」だけ見て、中国のお客さま向けの品揃えでいこうって考えてました…。中身が半分入れ替わってたんですね。



そこに気づけたなら十分です。今月は国内のほうも、消費額11.7%増と宿泊者数8.4%減が同時に出ていました。数字が食い違って見えるときは、たいてい「別のものを数えている」だけなんですよ。統計名と対象期をセットでメモしておく癖をつけておきましょう。



わかりました!じゃあ僕、旅館の稼働率が上がってるって話なので、さっそく旅館を開業して秋田あたりで一発当てますね。



その旅館の稼働率、36.7%ですけどね…。




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