助手セバスチャン最近、観光地でのマナー問題がニュースになることが増えましたよね。観光庁が何か対策事業を始めるって聞いたんですが、どんな内容なんですか?



そうですね。令和8年度から、観光客によるマナー違反・問題行為を抑制するための「啓発ツールの開発と展開」を支援する実証事業の公募が始まりました。観光地を抱える地域の事業者さんや観光協会、DMOなどにとって、取り組みを国が後押ししてくれる制度ですよ。



啓発ツールって、例えばどんなものですか?



多言語の案内サインや、問題が起きやすいスポットでの注意喚起コンテンツなどが考えられます。詳しく見ていきましょう。
観光需要がコロナ禍から力強く回復するなかで、観光地が直面する新たな課題として「オーバーツーリズム」が注目されています。人気スポットへの観光客の集中、ゴミのポイ捨てや立入禁止区域への侵入、撮影マナーの無視――こうしたマナー違反・問題行為は、地域住民の生活環境を脅かすだけでなく、旅行者自身の体験の質を低下させる要因にもなっています。
こうした課題に対して観光庁は、問題が生じやすいシーンに着目した啓発ツールの開発と実践的な展開を支援するため、令和8年度の実証事業を公募しました。



令和8年5月29日〜6月22日の限られた申請期間となってますので、この記事では素早く要点を確認できるよう、事業の背景から公募の内容、申請のポイントまでをわかりやすく解説します。
オーバーツーリズム時代に求められる「マナー啓発」


オーバーツーリズム(観光公害)とは、観光客が特定の地域・施設に過度に集中することで、地域住民の生活や自然環境に悪影響を与える現象です。近年の日本では、外国人観光客の急増と国内旅行需要の回復が重なり、各地で問題が顕在化しています。
代表的な問題としては次のようなものがあります。富士山の登山道における弾丸登山や撮影マナーの問題、京都・祇園など繁華街でのゴミの投棄や路地への無断侵入、温泉地での入浴マナー違反、漁港や市場での食べ歩きによる衛生上の問題などです。これらは単なる「モラルの問題」にとどまらず、地域の経済・環境・コミュニティに実害をもたらすため、組織的かつ継続的な対策が求められています。
こうした背景から、観光庁は「罰則による規制」だけでなく、「予防的な啓発活動」を通じて問題の未然防止を図る方針を打ち出しています。今回の実証事業は、そのための具体的な取り組みを現場で試してもらい、効果的な手法を全国に広げていくことを目的としています。
令和8年度実証事業の目的と概要
この事業の正式名称は「観光客によるマナー違反・問題行為の抑制・未然防止に向けた啓発に関する実証事業」です。観光庁が実施主体となり、現場で実際に使える啓発ツールを開発・展開する実証的な取り組みに対して支援を行います。
事業の核心にあるのは「シーンに着目した啓発」という考え方です。観光客のマナー違反は、特定の場所・状況・行動パターンと結びついていることが多いため、問題が発生しやすいシーンを特定し、そのシーンに最適化された啓発ツールを開発・活用することで、実効性の高い抑止効果が期待できます。
たとえば「写真撮影のために民家の私有地に立ち入る」「混雑した観光スポットで大声で電話をする」「農山村体験中に農作物を無断で持ち帰る」といった問題行為は、それぞれ発生する状況が異なります。一律の注意看板ではなく、シーン別の啓発コンテンツを用意することが、この事業のアプローチです。
複数のテーマ・シーンにまたがった申請も認められているため、たとえば「海水浴場でのマナー」と「周辺飲食店での問題行為」を組み合わせた取り組みなど、地域の実情に合わせた柔軟な提案が可能です。補助率や上限額などの詳細は公募要領(PDF)に記載されていますので、申請を検討する方は必ずダウンロードして確認してください。
どんな取り組みが対象になるのか
この実証事業で求められているのは、「啓発ツールの開発と展開」に関する実証的な取り組みです。「実証事業」という名称の通り、すでに確立された手法の横展開ではなく、現場での試行を通じて効果を検証することに意義があります。
具体的にどのような取り組みが対象になり得るかを考えてみると、次のようなものが挙げられます。
- 多言語対応の案内サインやデジタルサイネージの設置・試行
- 観光客の行動変容を促すコンテンツ(動画・アプリ・SNS等)の開発
- 現地スタッフによる声かけ・誘導の仕組み化と検証
- QRコードを活用したルールの周知とアクセス状況の測定
- マナー違反が起こりやすいスポットへの効果的な導線設計
いずれも「開発するだけ」ではなく、実際に現場で展開し、その効果を測定・検証するプロセスが求められます。実証事業であるため、「やってみた結果どうだったか」を記録・報告することが申請者に期待されています。
また、「実証」という性格上、既存の観光スポットや地域施設と連携した取り組みが想定されており、地域の観光協会・DMO・宿泊事業者・商店街・自治体などが申請主体として適していると考えられます。なお、具体的な応募資格(申請できる団体の種類など)は公募要領で規定されていますので、必ず確認が必要です。
公募スケジュールと申請書類
公募に関する主なスケジュールは以下の通りです。
| 項目 | 日程・内容 |
|---|---|
| 公募開始 | 令和8年5月29日(金) |
| 申請締切 | 令和8年6月22日(月)12:00 必着 |
| 提出先公開予定 | 6月中旬頃(メール提出先をページに掲載予定) |
| 問い合わせ期限 | 令和8年6月19日(金)17時まで |
この記事を執筆している令和8年5月31日時点では、公募受付期間中です。締め切りまで約3週間しかありませんので、申請を検討している方は早めに準備に取りかかることをおすすめします。
申請に必要な書類は以下の3種類+公募要領です。
- 【公募要領】(PDF):応募資格、審査基準、補助率・上限額など、申請に必要なすべての条件が記載されています。まずこれを熟読することが出発点です。
- 【様式1】実証事業計画書(PowerPoint):取り組みの目的、対象シーン、啓発ツールの内容、実施体制、効果測定の方法などを記載します。
- 【様式2】実証事業資金計画書(Excel):事業に必要な費用の内訳と財源を記載します。
- 【様式3】実証事業推進工程表(Excel):いつ、何を、どの順序で実施するかのスケジュールを記載します。
提出方法は電子メールで、6月中旬に観光庁のページに提出先アドレスが掲載される予定です。メールの件名冒頭には「【公募申請_申請団体名】」と記載することが必須となっています。
申請に向けたポイントと注意事項
申請を検討する際に押さえておきたいポイントを整理します。
まず公募要領を必ず読むことが大前提です。本記事ではページ上で公開されている情報をもとに解説していますが、補助率・上限額・応募資格・審査基準などの重要な詳細は公募要領PDFにのみ記載されています。「なんとなくよさそう」と感じた段階ですぐに様式を書き始めるのではなく、公募要領を熟読して自団体が対象となるかを確認してから進めましょう。
問い合わせは6月19日17時までという期限があります。不明点がある場合は、締切(6月22日)より前に問い合わせ期限が来てしまうことに注意が必要です。
「実証事業」としての性格を意識した計画書を作成することも重要です。この事業で求められているのは「確実に成功する取り組み」ではなく、「やってみて効果を測る」プロセスです。「どうやって効果を測るか」「結果をどう記録・報告するか」という視点を計画書に盛り込むことで、審査員に事業の実証的価値が伝わりやすくなります。
また、地域の関係者との連携体制を明確にしておくことも大切です。啓発活動は単独の事業者が単体で行っても限界があります。観光協会・DMO・地元自治体・宿泊施設・飲食店など、複数の関係者が協力する体制を示すことで、取り組みの実効性と持続可能性をアピールできます。
なお、この事業は令和8年度の実証を経て、成果が全国の観光地への横展開に活用されることが期待されています。つまり、採択されること自体が「地域のマナー問題に取り組む先進事例」として全国に発信されるチャンスでもあります。
まとめ:地域の観光課題を解決する好機として活用を
令和8年度「観光客によるマナー違反・問題行為の抑制・未然防止に向けた啓発に関する実証事業」は、オーバーツーリズムに直面する観光地の実務的な課題解決を国が支援する制度です。
重要なポイントを整理すると以下の通りです。
- 目的:マナー違反・問題行為が生じやすいシーンに特化した啓発ツールの開発・展開
- 公募期間:令和8年5月29日〜6月22日12時(締切まで約3週間)
- 申請方法:公募要領・様式1〜3をそろえてメール提出(提出先は6月中旬公開)
- 問い合わせ期限:6月19日17時まで
- 複数テーマ・シーンにまたがる申請も可能
この事業は補助・支援を受けながら地域独自の啓発モデルを構築できる機会です。観光地を抱える事業者・観光協会・DMOの方々は、公募要領を確認のうえ、ぜひ前向きに検討してみてください。
観光客に「また来たい」と思ってもらいながら、地域住民も笑顔で暮らせる持続可能な観光地づくり。その第一歩として、こうした実証事業への参加が役立つかもしれません。
参考リンク: 観光庁「令和8年度観光客によるマナー違反・問題行為の抑制・未然防止に向けた啓発に関する実証事業 公募」



なるほど、マナー問題の「予防」に特化した実証事業なんですね。単に看板を立てるだけじゃなくて、効果を測りながら改善していくアプローチが面白いと思いました!



そうですね。「実証」という言葉の通り、やってみた結果を記録して報告することが求められます。計画書には効果測定の方法をしっかり書いておくことが、採択の鍵になりそうですよ。



わかりました!さっそく計画書を書いてみます。えーと…「マナー違反をしたら観光客に温泉たまごをぶつける」という啓発ツールはどうでしょう?



それは啓発じゃなくて新たなマナー違反を生み出してますよ…。

