助手セバスチャン最近ボードゲームカフェが流行っていますよね。あれって、飲食店の許可を取るだけで開業できるんですか?



基本的には飲食店営業許可が中心になります。ゲームセンターのように風俗営業法の許可が必要になるわけではありません。ただ、深夜営業をするかどうか、ゲームを販売するかどうかなど、営業スタイルによって必要な手続きが変わってきますよ。



じゃあ、一般の飲食店とほぼ同じですか?



大部分はそうですが、ゲームの貸出に関する著作権の考え方や、中古ゲームを仕入れて販売する場合の古物商許可など、ボードゲームカフェならではのポイントもあります。順番に確認していきましょう。
近年、ボードゲームカフェは全国各地に増え、週末の娯楽や友人・家族との交流の場として人気を集めています。数百〜数千種類のボードゲームを取り揃え、飲み物や軽食を楽しみながら長時間プレイできるスタイルは、ゲームファンだけでなく初心者にも広く受け入れられています。
こうした人気を背景に、「自分もボードゲームカフェを開きたい」と考える方も増えています。では、実際に開業するにはどのような許認可が必要なのでしょうか。
ボードゲームカフェは、飲食提供とゲーム貸出を組み合わせた比較的新しい業態です。許認可の面では一般の飲食店と共通する部分が多いため、「思ったより難しくない」と感じる方もいるかもしれません。一方で、深夜営業の有無やゲームの販売・貸出のスタイルによって必要な手続きが変わる点は見落とさないようにする必要があります。



この記事では、ボードゲームカフェの開業を検討している方に向けて、必要な許認可と注意点を整理します。
ボードゲームカフェとはどんな業態か?
ボードゲームカフェは、大きく分けると「飲食の提供」と「ボードゲームの貸出」という二つの機能を持つ複合業態です。入場料や時間制のプレイ料金を徴収しながら、店内のゲームを自由に遊べる形式が一般的です。
ゲームセンターとの違い
開業前に多くの方が気になるのが、「ボードゲームカフェはゲームセンターと同じ扱いになるのか?」という点です。結論から言うと、ボードゲームカフェは風俗営業法上のゲームセンター(第5号営業)には該当しません。
風俗営業法第2条第1項第5号が規制する「ゲームセンター等」は、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの」を設置して営む営業です。ボードゲームはこの「遊技設備」には当たりませんから、ゲームセンターとして風俗営業許可を取得する必要はありません。
どの法律が関わるか
ボードゲームカフェに関わる主な法律・制度は以下の通りです。
- 食品衛生法:飲食・ドリンクを提供するための飲食店営業許可
- 風俗営業法:深夜0時以降に酒類を提供する場合の届出
- 消防法:防火管理者の選任(収容人数30人以上)
- 建築基準法:既存建物を転用する場合の用途変更
- 著作権法:ゲームの貸出に関わる権利の整理
- 古物営業法:中古ゲームを仕入れて販売する場合の古物商許可
ゲームセンター規制が不要な分、ライブハウスや風俗営業と比べると許認可の数は少なめです。しかし「許可が少ない=手続きが不要」ではありません。以下で一つひとつ確認していきましょう。
まず必須:飲食店営業許可(食品衛生法)
ボードゲームカフェで飲み物や軽食を提供する場合、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要です。これはすべての飲食店に共通する基本的な許認可であり、ボードゲームカフェも例外ではありません。
ソフトドリンクのみ提供する場合も、コーヒーやジュースを提供するならば飲食店営業許可の対象になります。「お菓子や軽食を置いているだけ」であっても、提供の仕方によっては許可が必要になるため、事前に管轄の保健所に確認することをお勧めします。
申請先と手続きの流れ
申請先は施設を管轄する保健所です。以下の流れで手続きを進めます。
- 事前相談(店舗の図面を持参して保健所に相談)
- 申請書類の提出
- 施設検査(保健所の担当者が現地確認)
- 許可証の交付
- 営業開始
施設検査では、厨房設備・手洗い設備・冷蔵設備・換気設備などが基準を満たしているかが確認されます。ボードゲームカフェはゲームスペースが広く、厨房スペースが小さくなりがちですが、施設基準を満たす設備を必ず確保してください。
食品衛生責任者の設置
飲食店営業許可の取得には、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。調理師や栄養士の資格保持者がいれば兼任できますが、いない場合は都道府県が実施する食品衛生責任者養成講習会(1日程度)を修了することで資格を取得できます。開業準備と並行して、早めに受講しておくとよいでしょう。
根拠法令:食品衛生法
深夜営業・酒類提供に関する届出(風俗営業法)
ボードゲームカフェは夜遅くまで営業するスタイルも多く、深夜営業の有無は許認可の観点からも重要なポイントです。
深夜0時以降に酒類を提供する場合
深夜0時(午前0時)以降に酒類を提供する飲食店は、深夜酒類提供飲食店営業として、都道府県公安委員会(所轄警察署経由)への届出が必要です。これは許可制ではなく届出制ですが、営業開始の10日前までに届け出る必要があります。
届出を怠って深夜に酒類提供を行った場合、風俗営業法違反として行政処分の対象になりますので注意してください。
ボードゲームカフェが「特定遊興飲食店」に該当しないケースがほとんどな理由
深夜に客に「遊興」をさせながら酒類を提供する営業は、特定遊興飲食店営業として許可が必要です。では、ボードゲームカフェでの「ゲームプレイ」は「遊興」に当たるのでしょうか。
風俗営業法でいう「遊興」とは、営業者側が客に対して積極的に働きかけて楽しませる行為(ライブ演奏・ショーなどを見せる、ダンスをさせるなど)を指します。客が自分たちで自主的にボードゲームを楽しむ行為は、この「遊興」には当たらないと一般的に解釈されています。
そのため、ボードゲームカフェは通常、特定遊興飲食店営業の許可は不要です。ただし、店内でライブ演奏やイベント興行を定期的に行う場合は別途確認が必要になることがあります。判断に迷う場合は、管轄の警察署(生活安全課)に事前相談することをお勧めします。
深夜営業しない場合は届出不要
深夜0時前に閉店するスタイルであれば、風俗営業法に関する届出は一切不要です。ターゲットとする客層や立地条件に合わせて、営業時間を設定してください。
消防法・建築基準法の確認事項
ボードゲームカフェは多くのお客さんが長時間滞在する施設です。万が一の火災や緊急事態に備えた消防法・建築基準法上の対応は、特に重要です。
防火管理者の選任(消防法)
収容人数が30人以上の施設では、消防法に基づき防火管理者の選任が義務付けられています。ボードゲームカフェは広いゲームスペースを持つことが多く、収容人数が30人を超えるケースがほとんどですので、ほぼ必須の手続きと考えてください。
防火管理者は「甲種」と「乙種」があり、収容人数300人以上の大規模施設では甲種が必要です。甲種は2日間の講習、乙種は1日間の講習で取得できます。防火管理者に選任されたら、所轄消防署へ防火管理者選任届を提出し、施設の消防計画を作成する義務も生じます。
ボードゲームカフェは長時間滞在型の施設ですから、営業中に来店客全員が店内にいる状況が続きます。避難経路の確保と誘導灯の設置、定期的な避難訓練の実施を確実に行いましょう。
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、(中略)消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施(中略)をさせなければならない。
消防法第8条第1項より


既存建物を活用する場合の用途変更(建築基準法)
以前は事務所や物販店舗だった建物をボードゲームカフェとして使用する場合、建物の「用途」が変わるため、用途変更の手続きが必要になる場合があります。床面積が200㎡を超える場合は、原則として建築確認申請が必要です。
また、カフェは建築基準法上の「特殊建築物」に当たるため、内装制限(壁・天井の仕上げ材に関する規制)や避難経路の確保が求められます。内装工事を始める前に、設計士や建築士に相談して建築基準法上の問題がないか確認しておくと安心です。
ゲームの貸出に関する著作権・法的留意点
ボードゲームカフェならではの論点が、ゲームの貸出と著作権の関係です。
ボードゲームの貸与権について
著作権法では、映画ソフトや音楽CDなどを商業目的で貸し出す行為について「貸与権」が設けられており、貸し出しには権利者の許諾が必要とされています。では、ボードゲームはどうでしょうか。
ボードゲームには書籍・ゲームボードなどの著作物が含まれますが、現行の著作権法上、書籍の貸与権は限定的な扱いとされており、ボードゲームを店内で客に貸し出して遊ばせる行為については、一般的に著作権侵害にはあたらないと解釈されています。実際に、多くのボードゲームカフェが権利者と個別契約を結ぶことなく店内貸出を行っており、ゲームメーカーもこうした営業スタイルを黙示的に許容しているケースが多いと言えます。
ただし、ゲームに付属するルールブックを無断でコピーして配布したり、ゲームのコマや盤をデジタル化して複製・使用したりする行為は著作権侵害になる可能性があります。貸出は実物のゲームに留め、複製行為を伴わないことが重要です。
また、ゲームメーカーによっては商業利用(店舗でのゲーム貸出による収益化)に関して独自のライセンス規約を設けているケースもあります。特に人気ゲームやブランド品については、メーカーに直接問い合わせて商業利用の可否を確認することをお勧めします。
中古ゲームを仕入れて販売する場合:古物商許可
ゲームの「貸出」ではなく、中古ボードゲームを仕入れて販売する場合には、古物商許可が必要です。これは古物営業法に基づく許可で、中古品(一度使用されたもの)を売買・交換する営業には必ず取得が求められます。
古物商許可の申請先は、営業所を管轄する都道府県警察(所轄警察署)です。申請から許可まで40日程度かかります。「せっかくだから店内で中古ゲームも販売したい」と考えている場合は、開業準備の早い段階で申請しておきましょう。
なお、新品のボードゲームのみを販売する場合は古物商許可は不要です。また、お客さんから持ち込まれた中古ゲームを無償で引き取る(下取り)場合も、反復継続して行わなければ許可不要のケースがあります。ただしこのあたりはグレーゾーンもありますので、判断に迷う場合は行政書士や警察署に相談することをお勧めします。
根拠法令:古物営業法
その他確認しておきたい許認可・届出
酒類販売業免許(酒税法)
店内でお客さんにお酒を飲んでもらう(飲食店としての提供)は飲食店営業許可の範囲内ですが、未開栓の瓶ビールやワインをお土産として持ち帰り用に販売する場合は、別途一般酒類小売業免許が必要になります。申請先は所轄の税務署です。
物販の規模が小さい場合でも、「販売」の形をとる以上は免許が必要です。「おまけ」として渡す場合との境界線は難しいケースもありますので、酒類の物販を予定している場合は税務署に事前確認しておきましょう。
用途地域の確認
飲食店は、工業専用地域を除くほとんどの用途地域で営業できますが、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要な店舗については、用途地域の制限が加わります。住居系の用途地域(第一種・第二種低層住居専用地域など)では届出を受理してもらえない場合があります。
物件を選ぶ段階で、その場所がどの用途地域に当たるかを確認しておくことが重要です。市区町村の都市計画課やウェブサイトで確認できます。
騒音・近隣対応
ボードゲームカフェは飲食店に比べて大きな騒音を発生させる業態ではありませんが、深夜まで複数のお客さんが会話を楽しむ環境では、近隣への配慮が必要です。各都道府県の騒音規制条例に基づいて、夜間の騒音レベルに注意しましょう。また、開業前に近隣の住民や管理組合に挨拶しておくことで、開業後のトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ:ボードゲームカフェ開業前の確認リスト
ボードゲームカフェの許認可は、一般の飲食店と比べてそれほど複雑ではありません。ただし、深夜営業の有無やゲームの販売スタイルによって必要な手続きが変わってきます。以下の一覧で、自分の店舗に必要な手続きを確認してください。
| 許認可・届出の種類 | 根拠法令 | 申請・届出先 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 食品衛生法 | 保健所 | 飲食・ドリンク提供がある場合は必須 |
| 深夜酒類提供飲食店営業届出 | 風俗営業法 | 都道府県公安委員会(警察署経由) | 深夜0時以降に酒類提供がある場合。営業開始10日前まで |
| 防火管理者選任届 | 消防法 | 所轄消防署 | 収容人数30人以上で必須 |
| 用途変更確認申請 | 建築基準法 | 建築主事・指定確認検査機関 | 既存建物を転用する場合(床面積200㎡超) |
| 古物商許可 | 古物営業法 | 都道府県警察(所轄警察署) | 中古ボードゲームを仕入れて販売する場合 |
| 一般酒類小売業免許 | 酒税法 | 所轄税務署 | 未開栓の酒類を物販する場合 |
ボードゲームカフェは、許認可の面では比較的取り組みやすい業態です。しかし「飲食店の許可だけ取れば終わり」と油断してしまうと、深夜営業の届出漏れや古物商許可の取得忘れといったミスにつながります。自分の店舗がどのスタイルで営業するのかを明確にしたうえで、必要な手続きを一つひとつ確認していきましょう。
ゲームへの情熱と正しい許認可、その両方を持って、多くのお客さんに楽しんでもらえるボードゲームカフェを開業してください。



なるほど、ゲームセンターの許可は不要で、基本は飲食店の許可が中心なんですね。思ったよりシンプルで安心しました!



そうですね。ただ、深夜営業をするなら届出が必要ですし、中古ゲームを販売するなら古物商許可も必要です。自分の営業スタイルに合わせて、必要な手続きを漏れなく確認することが大切ですよ。



わかりました!…ちなみに、僕がボードゲームカフェを開いたら、営業中にずっとゲームを遊んでいいですか?



それは店員としての仕事をしてから、ですね。









