助手セバスチャン8月の訪日外国人が9.6%も減ったそうです。先月「4か月ぶりのプラス」って喜んだばかりなのに…。インバウンドはもう終わりなんでしょうか?



9.6%減という数字は事実です。今年に入っていちばん大きな落ち込みでもあります。ただ、同じ時期に出た別の統計では、訪日客が使ったお金の総額は前年並みを保っているんですよ。



えっ、人が減ったのにお金は減ってないんですか?



1人あたりの支出が増えているからです。ただし、その中身も費目によって増えたもの・減ったものがあります。人数と金額を分けて読むと、業種ごとにやるべきことがかなり違って見えてきますよ。
観光業で開業や新規事業を考えるとき、事業計画の土台になるのが「いま市場はどう動いているか」という見立てです。観光統計は観光庁と日本政府観光局(JNTO)から複数の調査が別々のタイミングで公表されるため、ニュースの見出しだけを追っていると、先月は「回復」、今月は「失速」と、印象が大きく揺れてしまいます。



この記事では、2026年10月時点で公表されている主要な観光統計を整理し、開業準備中の事業者にとってそれぞれの数字が何を意味するのかを解説します。
今月の数字を一言でまとめるなら、「人数は減っても、中身で支えている」です。訪日外客数は8月に前年同月比9.6%減となりましたが、4-6月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比0.3%増と前年並みでした。ただし宿泊費は金額で減り、飲食・買物は増えています。どの業種にとって追い風で、どの業種にとって向かい風なのかを順に整理します。
2026年10月時点の観光統計まとめ
最初に、今月の数字がそれぞれ「いつの」「どの段階の」数値なのかを揃えておきます。観光統計は調査ごとに対象期間が違うため、ここを曖昧にしたまま並べると、時期のずれた数字どうしを比べることになります。
今月更新された統計と対象期間
2026年10月時点で参照できる主要統計は次のとおりです。
| 統計名 | 実施機関 | 対象期間 | 公表段階 |
|---|---|---|---|
| 訪日外客統計 | 日本政府観光局(JNTO) | 2026年8月 | 推計値 |
| 宿泊旅行統計調査 | 観光庁 | 2026年7月(客室稼働率は一部8月) | 第2次速報値(8月は第1次速報値) |
| 旅行業者取扱額 | 観光庁 | 2026年7月 | ― |
| インバウンド消費動向調査 | 観光庁 | 2026年4-6月期 | 2次速報 |
| 旅行・観光消費動向調査 | 観光庁 | 2026年4-6月期 | 1次速報(今月は更新なし) |
訪日外客数は8月分まで出ていますが、訪日客の消費額は4-6月期が最新です。8月の訪日客の減少は、まだ消費額の統計には反映されていません。後半で「消費額は前年並み」と書くときも、この時期のずれが前提になります。
インバウンド消費は2次速報に、国内旅行消費は更新なし
インバウンド消費動向調査は、今月4-6月期の数値が1次速報から2次速報に改定されました。1人当たり旅行支出は244,457円(前年同期比3.3%増)から244,733円(同3.4%増)へ、消費総額は2兆5,096億円から2兆5,125億円へと、いずれも小幅に上方改定されています。
一方、日本人の国内旅行を扱う旅行・観光消費動向調査は四半期ごとの公表のため、今月は新しい数値が出ていません。4-6月期の1次速報(旅行消費額75,361億円・前年同期比11.7%増、国内宿泊旅行の1人1回あたり単価76,947円・同6.8%増)が引き続き最新です。更新がないのは調査の周期によるもので、異常ではありません。
宿泊旅行統計の8月分は第1次速報値で、2026年10月30日公表予定の第2次速報で改定されます。訪日外客数も推計値で、後日確定値に置き換わります。融資資料などに引用する場合は、対象期間と公表段階をセットで書いておくと、数字が改定されたときにも説明がつきます。
前年同月比は「万博開催中の2025年」との比較
2026年の数字を読むうえで外せない前提があります。2025年4月13日から10月13日まで、大阪・関西万博が開催されていました。今月扱う月次データ(訪日外客数8月、宿泊7月・8月、旅行業者取扱額7月)は、すべて万博会期中の2025年同月と比べた数字です。
たとえば大阪府の7月の延べ宿泊者数は前年同月比14.9%減(日本人は18.1%減)でした。観光庁の【参考】資料「大阪・関西万博期間中の国内旅行市場の変動」によると、「大阪府」を主目的地とする2025年7-9月期の国内宿泊延べ旅行者数は前年の2倍近く(前年同期比90%増)に膨らんでいました。大阪の減少は、万博で押し上げられた年との比較として読む必要があります。
ただし、この参考資料は旅行・観光消費動向調査(主な目的地ベース)の分析で、宿泊旅行統計(施設所在地ベース)とは別の調査です。数値をそのまま当てはめることはできず、「2025年の大阪が押し上げられていた」という根拠として使うにとどめるべきです。また、7月は東京都10.7%減、神奈川県12.2%減、山梨県21.3%減と近畿以外でも大きな減少が出ているため、全国の動きを万博の反動だけで説明することもできません。
訪日外客数は8月に9.6%減、今年最大の落ち込み


2026年8月の訪日外客数は3,098,900人(前年同月比9.6%減)でした。1-8月の累計は27,626,300人で、前年同期比2.7%減となっています。
7月のプラスは1か月で終わった
2026年の月別推移を並べると、8月の落ち込みの大きさがよく分かります。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前年同月比 | −4.9% | +6.4% | +3.5% | −5.5% | −3.6% | −6.8% | +0.1% | −9.6% |
当サイトの前回レポート(2026年9月版)では、7月が0.1%増と4か月ぶりにプラスへ戻ったことを取り上げました。そのとき強調したのは、戻ったのは総数だけで、中身は入れ替わっているという点でした。8月はその「入れ替わり」が止まり、減少がそのまま総数に出た形です。
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中国−59.0%、台湾・香港の伸びは1桁に
主要市場の8月の数字を、7月と並べてみます。
| 市場 | 訪日外客数(2026年8月) | 8月の前年同月比 | 7月の前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 850,500人 | +28.7% | +31.9% |
| 台湾 | 666,000人 | +7.3% | +26.4% |
| 中国 | 418,000人 | −59.0% | −56.1% |
| 香港 | 247,300人 | +9.4% | +54.8% |
| 米国 | 197,400人 | +1.5% | +3.3% |
| 総数 | 3,098,900人 | −9.6% | +0.1% |
7月に総数がプラスになったのは、中国の大幅減を韓国・台湾・香港の大きな伸びが人数で相殺していたからでした。8月は韓国が28.7%増と高い伸びを保った一方、台湾は26.4%増から7.3%増へ、香港は54.8%増から9.4%増へと伸びが縮んでいます。埋める側の勢いが落ちたことで、中国の減少を吸収しきれなくなったと考えられます。
中国市場は2026年に入ってから毎月45〜61%の幅で減っています。単月の振れではなく、前年に比べて水準そのものが切り下がった状態が続いていると見るのが自然です。
「台湾・香港ブームの終わり」とはまだ言えない理由
台湾・香港の伸びが鈍ったことを見て「ブームが終わった」と書きたくなりますが、現時点でその判断はできません。
まず、根拠が8月の1か月分しかありません。前年同月比は前年8月の水準に左右されるため、祝日の配置や航空便の状況など、前年側の事情で伸び率が小さく出ている可能性があります。台湾・香港とも、人数そのものは前年を上回っています。
中国の減少についても同様で、航空便数や渡航環境といった要因はこの統計の外にあります。原因を決めつけた前提で「いずれ戻る」「もう戻らない」のどちらかに賭ける計画は避けたほうが安全です。開業準備の段階では、総数が前年並みに戻らない前提でも成り立つ計画にしておくことをおすすめします。
人数は減っても消費額は前年並み(4-6月期・2次速報)


人数の数字だけを見ると厳しい印象になりますが、お金の動きは少し違います。2026年4-6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆5,125億円(前年同期比0.3%増)で、前年並みを保ちました。
旅行者数−5.3%を1人当たり支出+3.4%で補う
同じ4-6月期の訪日外国人旅行者数は10,401,374人で、前年同期比5.3%減でした。それでも消費総額が減らなかったのは、一般客1人当たり旅行支出が244,733円(同3.4%増)に増え、国籍・地域の構成も変わったためと考えられます。
人数が5%減っても総額が前年並みということは、1人のお客さまが落とす金額の重みが増しているということです。客数を前年並みに戻す前提で計画を組むより、来たお客さまにどれだけ使ってもらえるかを軸に考えるほうが、いまの数字に合っています。
宿泊費だけが減り、飲食・買物・娯楽は増えた
費目別に分けると、業種ごとの差がはっきり出ます。
| 費目 | 構成比(2026年4-6月期) | 構成比(前年同期) | 金額の変化 |
|---|---|---|---|
| 宿泊費 | 36.6% | 38.5% | 9,636億円 → 9,207億円 |
| 買物代 | 27.1% | 26.1% | 6,547億円 → 6,821億円 |
| 飲食費 | 21.7% | 21.0% | 5,257億円 → 5,463億円 |
| 交通費 | 10.1% | 10.2% | ― |
| 娯楽等サービス費 | 4.3% | 4.1% | ― |
金額で減ったのは宿泊費だけで、飲食費・買物代は増え、娯楽等サービス費も構成比を上げています。同じ期の平均泊数(全目的)は8.6泊で、前年同期より0.8泊短くなっており、宿泊費の減少と方向は合っています。
とはいえ、これを「1人あたりの滞在が短くなった」と断定することはできません。泊数の長い市場と短い市場の比率が変われば、個々の旅行者の行動が変わらなくても平均泊数は動くからです。今回の統計では、この国籍構成の影響を切り分けられていません。
中国は消費額で首位から3位に
国籍・地域別の消費額では、順位が入れ替わりました。米国が3,860億円(前年同期比8.9%増)で首位、台湾が3,618億円(同27.1%増)で2位となり、中国は2,635億円(同48.0%減)で3位です。前年同期は中国が5,064億円で最大の市場でしたから、ほぼ半分になったことになります。韓国は2,581億円(同11.8%増)、香港は1,439億円(同6.8%増)でした。
なお、資料上は「その他」が17.1%減となっていますが、これは2026年調査からメキシコ・北欧・中東が新たな区分として独立し、以前は「その他」に含まれていた分が抜けたためです。市場が縮んだという意味ではありません。
物販・飲食店にとっての意味:客数より客単価と客層構成
物販・ギフトショップにとって大事なのは、買物需要の総額は落ちていないという点です。買物代は6,547億円から6,821億円へ増え、構成比も上がっています。減っているのは中国からのお客さまの比率です。中国のお客さまを前提にした品揃え・決済手段・接客言語のままでは、実際の来店客の構成と合っていない可能性が高いと考えられます。免税販売を軸にした出店を考えている場合も、想定する客層を一度洗い直す価値があります。
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飲食店については、旅行者数が5.3%減る中で飲食費が5,257億円から5,463億円に増えました。客数を追うよりも、1人あたりの注文を増やすメニュー設計(コース化、ドリンクとの組み合わせ、体験型の要素など)が合う局面と考えられます。ただし費目別の数字は全国合計で、立地や業態ごとの内訳はありません。自店の商圏で同じことが起きているかは、別途確かめる必要があります。
もう一点、この消費額は4-6月期のものです。8月の訪日外客数9.6%減は含まれていないため、7-9月期の消費額がどう出るかは次の1次速報を待つ必要があります。秋以降の仕入れや人員計画では、総数が戻る前提を置かないほうが無難です。
宿泊:旅館は3か月連続で前年超え、都市部と簡易宿所は低下


宿泊分野では、前回レポートで取り上げた「都市型が下がり、旅館・リゾートが上がる」という動きが、施設タイプによってはさらに続いています。2026年7月の延べ宿泊者数は53,974,770人泊(前年同月比4.7%減)で、日本人が4.1%減、外国人が6.5%減でした。
施設タイプ別の客室稼働率(7月第2次・8月第1次速報)
| 施設タイプ | 2026年7月(第2次速報値) | 前年同月差 | 2026年8月(第1次速報値) | 前年同月差 |
|---|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 74.6% | −0.1ポイント | 75.7% | −0.7ポイント |
| シティホテル | 71.9% | +0.3ポイント | 72.3% | −3.0ポイント |
| リゾートホテル | 59.0% | +2.1ポイント | 66.9% | −0.6ポイント |
| 旅館 | 40.2% | +3.0ポイント | ― | +1.7ポイント |
| 簡易宿所 | 30.0% | −2.8ポイント | 36.2% | −2.9ポイント |
| 全体 | 61.0% | −0.2ポイント | 64.4% | −1.3ポイント |
旅館の前年同月差は、6月が1.7ポイント増、7月が3.0ポイント増、8月(第1次速報)が1.7ポイント増で、3か月続けてプラスです。一方で8月はシティホテルが3.0ポイント減と大きく下がり、リゾートホテルも7月のプラスから0.6ポイント減へと逆に振れました。簡易宿所は7月・8月とも2〜3ポイントの低下です。
8月は第1次速報である点にも注意してください。7月分は第1次から第2次速報への改定で、旅館が3.4ポイント増から3.0ポイント増へ、リゾートホテルが2.7ポイント増から2.1ポイント増へと、いずれも上昇幅が縮んでいます。8月分も10月30日の第2次速報で動く可能性があります。
外国人宿泊の減少は三大都市圏に偏っている
7月の外国人延べ宿泊者数を地域別に見ると、三大都市圏が9.2%減、地方部が0.9%減でした。減少はほぼ都市圏に集中しており、三大都市圏を除く地方部の延べ宿泊者数シェアは58.4%(前年同月比1.9ポイント増)に上がっています。
都道府県別でも、愛媛県36.6%増、高知県28.0%増、茨城県23.3%増、和歌山県19.8%増など、地方県で2桁の伸びが出ています。ただ、宿泊統計は都道府県単位の集計で、キャンプ場やグランピングといった業態別の区分はありません。「地方が伸びている」ことを、そのまま自分の業態・立地にも当てはまると読むのは早計です。
旅館の上昇は「層化基準の変更」を割り引いて読む
旅館の3か月連続プラスには、統計上の大きな注意点があります。宿泊旅行統計調査は2026年1月調査分から、層化変数が「従業者数」から「客室数」に変わりました(客室数20室以上は全数調査、1〜19室はサンプル調査)。報道発表資料にも次のように明記されています。
対前年(同月)比、対前年(同月)差については、見直しの影響が含まれている可能性がある点に留意
観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年7月・第2次速報)」報道発表資料より
小規模な施設が多い旅館は、この見直しの影響を受けやすい区分です。3か月同じ方向に出ていることも、見直しの影響が毎月同じ向きに出ているだけという可能性を否定できません。旅館の3.0ポイント増を、そのまま実勢の改善と読むことはできないというのが正確なところです。
宿泊・民泊の開業を検討中なら
この数字から言える実務上の含意は、立地とタイプで分かれます。
都市部でインバウンド比率の高い施設を計画しているなら、稼働率と客室単価の想定を保守的に置き直す局面です。外国人宿泊の減少は都市圏に偏り、8月はシティホテルの稼働率が3.0ポイント下がりました。訪日客の消費でも、宿泊費だけが金額で減っています。
簡易宿所は7月・8月とも2〜3ポイント低下しており、民泊やゲストハウス型での新規開業を考えている方は特に注意が必要です。開業前に、稼働率を前年並みより低く置いた場合でも資金繰りが回るかを確認しておきましょう。
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地方の旅館は数字の方向こそ良いものの、稼働率の絶対水準は7月で40.2%です。ビジネスホテルの74.6%とは大きな差があり、「上がっている」ことと「採算が取れる水準にある」ことは別の話です。事業承継や新規開業を検討する場合は、全国平均ではなく、候補地域・規模の近い施設の実績で収支を組み立ててください。
主要旅行業者の取扱い:国内は減少幅縮小、訪日向けは112.1


旅行業者取扱額にも小さな変化が出ています。2026年7月の主要旅行業者43社・グループの総取扱額は3,095.1億円(前年同月比101.5)で、内訳は国内旅行1,729億円(同97.6)、外国人旅行157.7億円(同112.1)、海外旅行1,208.3億円(同106.2)でした。国内旅行は6月の92.1から97.6へと、減少幅が縮んでいます。
募集型企画旅行の人数はなお約1割減
減少幅が縮んだとはいえ、パッケージ商品の人数はまだ戻っていません。募集型企画旅行(国内)の取扱額は前年同月比95.1、取扱人数は88.3で、6月(取扱額90.6・人数80.3)よりは改善したものの、人数は前年を約1割下回っています。人数の落ち込みが金額より大きい状態が、2か月続いていることになります。
貸切バスや観光タクシーの事業者にとって、これは団体・パッケージ経由の受注量に直結する数字です。改善は7月の1か月分だけで、前年7月の水準の影響も切り分けられていません。団体パッケージからの受注を前提にした稼働計画は、引き続き控えめに見積もっておくのが安全です。
外国人旅行(日本の旅行会社によるインバウンドの取扱い)は112.1と伸びました。同じ7月の訪日外客数は0.1%増でしたから、それを大きく上回る伸び方です。団体やMICE(会議・研修旅行など)向けの取扱いが寄与した可能性もありますが、理由はこの資料からは分かりません。
「43社・グループの集計」という限定
この統計は主要旅行業者43社・グループの合計であって、業界全体の数値ではありません。中小の旅行業者やOTA(オンライン旅行会社)の動きは含まれていません。
そのため、この数字から「旅行会社の国内需要が回復してきた」と一般化することはできません。旅行業での開業を考えている方が参考にするなら、「大手の国内パッケージは人数ベースで約1割減、インバウンド取扱いは伸びている」という事実関係までにとどめ、自社が狙う商品や客層の動きは別の資料や取引先の声で確かめるのが確実です。
まとめ:2026年10月の観光市場をどう読むか
2026年10月時点の観光統計は、「人数は減っても、中身で支えている」という構図でした。
訪日外客数は8月に前年同月比9.6%減と今年最大の落ち込みになりました。中国が59.0%減と大幅減が続く中、7月に減少を埋めていた台湾・香港の伸びが1桁に縮んだためです。ただし台湾・香港の鈍化は1か月分のデータで、ブームの終わりと判断できる段階ではありません。
お金の面では、4-6月期の訪日外国人旅行消費額が2兆5,125億円(前年同期比0.3%増・2次速報)と前年並みを保ちました。旅行者数の5.3%減を、1人当たり支出の3.4%増が補った形です。費目別には宿泊費だけが金額で減り、飲食・買物・娯楽は増えています。
宿泊分野では旅館の稼働率が3か月連続で前年を上回った一方、8月はシティホテルと簡易宿所の低下が目立ちました。外国人宿泊の減少は三大都市圏に偏っています。旅館の上昇には層化基準の変更という断層があり、絶対水準も40%台にとどまります。
これから開業を考える方にとっての含意を業種別に整理すると、次のようになります。
- 物販・ギフトショップ:買物需要の総額は落ちていない。中国のお客さま中心の品揃え・決済・接客を見直す
- 飲食店:客数より客単価を伸ばすメニュー設計が合う局面
- 都市部の宿泊・簡易宿所・民泊:稼働率と客室単価の想定を保守的に置き直す
- 旅行会社・貸切バス:大手パッケージの人数はなお約1割減。団体受注前提の計画は控えめに
市場全体の数字は計画の出発点にすぎません。最終的には、自分の業態・立地・客層の数字で確かめることが、いちばん確実な判断材料になります。
※なお、この記事で扱った数値はすべて速報値・推計値であり、後日改定されます。宿泊旅行統計の8月分は第1次速報値で、2026年10月30日公表予定の第2次速報で改定されます。宿泊旅行統計は2026年1月調査分から層化基準が変更されており、前年比較に統計上の断層が含まれている可能性があります。また、2026年4月から10月の前年同月比は大阪・関西万博期間との比較になる点にもご留意ください。事業計画や融資資料に引用する際は、対象期間と公表段階を明記し、最新の公表値をご確認ください。
出典
- 訪日外客統計(日本政府観光局(JNTO))2026年8月 推計値 https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
- インバウンド消費動向調査(観光庁)2026年4-6月期 2次速報 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html
- 宿泊旅行統計調査(観光庁)2026年7月 第2次速報値(8月は第1次速報値) https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html
- 旅行業者取扱額(観光庁)2026年7月 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/ryokogyotoriatsukaigaku.html
- 旅行・観光消費動向調査(観光庁)2026年4-6月期 1次速報 https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shohidoko.html
- 【参考】大阪・関西万博期間中の国内旅行市場の変動(観光庁) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002007562.pdf



9.6%減って聞いたときは青ざめましたけど、1人あたりの支出が増えて、消費額は前年並みだったんですね。お客さまの数より、何にお金を使ってもらえるかを見るべきだと分かりました!



その理解で合っています。もう一つ付け加えるなら、今回の消費額は4-6月期のもので、8月の落ち込みはまだ入っていません。次の7-9月期の数字が出たら、同じ見方でもう一度確かめてみましょう。



了解です!じゃあ僕のお店も客単価アップでいきます。とりあえず全メニューを一律3倍の値段にしておきますね。



それは客単価アップではなく、ただの値上げです。お客さまが来なくなったら、人数も単価もゼロになりますよ。





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