助手セバスチャンキャンプ場をオープンしたときのアイデアが止まりません。週末は満場になりそうです。



週末はきっと埋まりますよ。問題は平日です。



平日ですか?まあ、多少は少なくなりますよね。半分くらいでしょうか。



業界の分析では、休日の稼働率が70〜80%なのに対し、平日は5%程度とされています。半分どころではありません。



ご、5パーセント…!? それはもう、ほぼゼロでは…。



そうなんです。だからキャンプ場の運営は、繁忙期をどう回すかより、閑散期をどう埋めるかの設計が中心になります。順番に見ていきましょう。
キャンプ場の開業準備は、土地探し、許認可、造成工事と続き、オープンにたどり着いた時点で大きな達成感があります。しかし事業として続けていくうえで本当に難しいのは、そこから先の運営です。
宿泊業のなかでも、キャンプ場は繁閑の差が突出して大きい業態です。連休や夏休みは予約が取れないほど埋まる一方、平日と冬季はほとんど動きません。この構造を前提に運営を設計しないと、繁忙期に合わせて整えた設備と人員が、一年の大半で遊んでしまうことになります。



この記事では、予約をどう管理するか、キャンセルポリシーをどう設計するか、閑散期をどう埋めるか、そして人をどう配置するかという4つの実務論点を整理していきます。
キャンプ場の運営は「休日70%・平日5%」という現実から始まる


まず、運営設計の前提となる数字を確認しておきましょう。業界の分析では、キャンプ場の稼働率は休日が70〜80%、平日は5%程度とされています。地域や立地によって差はありますが、この落差の大きさがキャンプ場という事業の本質です。
同じ宿泊業でも、ビジネスホテルは平日のほうが稼働します。旅館は週末に偏りますが、ここまで極端ではありません。キャンプ場が突出しているのは、利用目的がレジャーに限定され、しかも屋外であるためです。平日に泊まる理由がなく、天候が悪ければ動機も消えます。
この構造から導かれる示唆は明快です。繁忙期の運営を磨いても、売上は大きく伸びません。土日と大型連休はもともと埋まるからです。伸びしろがあるのは平日と冬季であり、そこに手を打てるかどうかで年間の収益が決まります。
運営を数字で管理するうえでは、宿泊業共通の3つの指標が役に立ちます。
- OCC(稼働率):全体の収容能力に対して、実際に利用された割合
- ADR(平均単価):1泊あたりの平均売上
- RevPAR:OCCとADRを掛け合わせた、収容能力あたりの売上
売上が伸び悩んでいるとき、原因が稼働率にあるのか単価にあるのかは、この3つを分けて見ないと判断できません。あわせてキャンセル率も追ってください。予約は入っているのにキャンセルが多いのであれば、それは集客の問題ではなくポリシーや案内の問題です。
そして、これらを曜日別・月別に分けて記録することが重要です。全体の平均だけを見ていると、平日の空きが繁忙期の満場に隠れてしまいます。埋めるべき穴がどこにあるのかを可視化するところから始めましょう。
予約管理をどう組むか——予約サイトと自社予約の使い分け
予約の受付経路は、大きく4つに分かれます。メールでの受付、自社で構築した予約システム、市販の予約システム、そして予約サイトへの掲載です。近年は予約サイト経由が伸びており、キャンプ場の分野では「なっぷ」が事実上の中心的な存在となっています。ほかに hinata spot や TAKIBI といったサービスが追随し、在庫を一元管理するサイトコントローラーとの連携も進みつつあります。
運営者として最優先で考えるべきは、集客より先にダブルブッキングを防ぐことです。予約サイト、自社サイト、電話という3つの経路がバラバラに動いていると、同じ区画に別々の予約が入る事故が起こります。繁忙期の週末にこれが発生すると、代替区画も用意できず、その場での謝罪では収まりません。
したがって、在庫を一元管理できる仕組みを最初に入れることが原則です。予約サイトの管理画面が自社サイトからの予約も取り込める仕様になっているか、電話予約を受けたときに即座に在庫を落とせるか。運用を始める前に確認してください。
そのうえで、予約サイトと自社予約の使い分けを考えます。
予約サイトの利点は集客力です。キャンプ場を探しているユーザーはまず検索サイトに来ますから、掲載していなければ存在しないのと同じになります。一方で手数料が発生し、価格やプランの見せ方にも一定の制約があります。
自社予約は手数料がかからず、顧客情報を自分で持てるという利点があります。リピーターへの直接の案内も可能です。ただしシステムの導入費と運用の手間がかかり、何より自社サイトに人が来なければ機能しません。
現実的な進め方としては、開業当初は予約サイトを主軸に据え、リピーターが増えてきた段階で自社予約の比率を上げていくという順序になります。手数料は集客の対価だと割り切り、そのうえで直接予約に誘導する導線を少しずつ育てる。この二段構えが無理のない設計です。
キャンセルポリシーの設計——天候リスクを誰が負うか
キャンプ場に固有の難題が、天候によるキャンセルです。屋外事業である以上避けられませんが、ポリシーの設計次第でトラブルの量は大きく変わります。
キャンプ場のキャンセル規定は、おおむね次の4パターンに分かれます。
| パターン | 内容 | 性質 |
|---|---|---|
| ①当日まで無料 | キャンセル料を一切取らない | 利用者に優しいが、直前キャンセルで空きが出る |
| ②段階的に発生 | 一定日前から日が近づくほど料率が上がる | 実務上最も多い形 |
| ③予約時から発生 | 予約成立時点でキャンセル料の対象 | 強気だが、予約自体が入りにくくなる |
| ④日付振替のみ | キャンセルは不可、別日への変更で対応 | 天候リスクへの折衷案 |
多くのキャンプ場が採用しているのは②の段階型です。1週間前までは無料、以降は日が近づくにつれて料率を上げていく形が一般的でしょう。
天候については、警報と注意報の線引きを明記しておくことを強くおすすめします。「警報が発表され、キャンプ場に影響があると判断した場合はキャンセル料をいただかない。注意報は対象外」というように、基準を客観的な事実に紐づけるのです。「大雨だから」「風が強そうだから」という主観に委ねると、判断が毎回変わり、利用者から不公平だと受け取られます。
返金の実務についても、あらかじめ案内しておくべきです。クレジットカード決済の場合、数か月前の予約はすでに引き落とされていることがあり、取り下げ処理をしてもカード会社を通じた相殺や返金には2〜3か月かかる場合があります。この点を先に伝えておかないと、「返金されない」という問い合わせが繰り返し発生します。
また、チェックイン受付後のキャンセルは返金しないという取扱いも明記しておきましょう。到着後に天候が崩れて撤収する、というケースは実際に起こります。
ポリシーの設計で大切なのは、優しさよりも明確さです。曖昧なまま運用すると、その場の判断を求められる従業員が疲弊し、利用者間の不公平も生じます。基準を文章にして公開し、例外を作らない。それが結果的に双方を守ります。
あわせて読みたい:キャンプ場開業までのロードマップ|土地探しからオープンまでの流れと期間
繁閑対策——平日と冬をどう埋めるか
ここが運営の本丸です。冒頭で確認したとおり、伸びしろは平日と冬季にしかありません。
打ち手の第一は、料金の使い分けです。繁忙期と閑散期で同じ料金を設定しているキャンプ場は少なくありませんが、これは機会を逃しています。あるモデルでは、グループあたりの単価を閑散期12,000円、繁忙期25,000円という2段階に設定する考え方が示されています。繁忙期は放っておいても埋まるのですから単価を上げ、閑散期は単価を下げてでも稼働を取りに行く。変動費の比率が高い事業では、空き区画は何も生みません。多少単価を下げても埋まったほうが利益は増えます。
第二は、冬季の設備投資です。薪ストーブを備えたコテージを導入し、冬キャンプをテーマにしたプランを展開したところ、12月から2月の稼働率が前年比で3倍になったという例があります。冬季の稼働は「宣伝の工夫」では動きにくく、寒さへの答えを設備で用意できるかが分かれ目になります。暖房付きの常設テント、囲いのある炊事場、温水シャワー。こうした投資が冬の売上を作ります。
第三は、平日需要の開拓です。個人のレジャー客に平日利用を期待するのは限界がありますから、別の客層を持ってくるという発想が必要です。
- 企業のチームビルディング研修や新人研修としての貸切利用
- ワーケーション需要(電源とWi-Fiが前提になります)
- 平日に動けるシニア層や、未就学児のいる家族向けのプラン
- デイキャンプやBBQ利用(宿泊しない層を取り込む)
- 地域の学校行事や団体利用
これらはいずれも、個人客とは異なる営業活動を必要とします。法人向けであれば商工会議所や地元企業へのアプローチ、学校であれば教育委員会や旅行会社経由。予約サイトに掲載しているだけでは届きません。
最後に構造的な問題を指摘しておきます。キャンプ場事業者は、繁忙期に対応できるよう設備を整え、人員を確保します。その結果、閑散期には設備も人員も余るという状態が生まれます。この余剰をどう扱うかが経営判断です。閑散期の需要を作って埋めるのか、それとも季節営業に割り切って固定費を落とすのか。どちらが正解ということはありませんが、曖昧なまま通年営業を続けるのが最も損失が大きいとは言えます。
あわせて読みたい:キャンプ場経営って儲かるの?収益シミュレーションを作ってみた【野営オートキャンプの場合】
スタッフ体制の作り方——繁忙期基準では回らない


人員配置も、繁閑差を前提に設計する必要があります。
やってはいけないのが、繁忙期の忙しさを基準に常勤スタッフを雇うことです。夏の週末は目が回るほど忙しいのは事実ですが、その水準で人を抱えると、平日の人件費が丸ごと損失になります。年間を通じた人件費は、閑散期を含めた平均で考えなければなりません。
現実的なのは二層構造です。年間を通じて必要なコア人員を最小限に絞り、繁忙期はスポットで人を増やす。学生アルバイト、地域の副業人材、繁忙期だけ手伝ってくれる知人。こうした層をあらかじめリスト化しておき、シーズン前に声をかける体制を作っておきます。
そのうえで、業務を切り分けて整理してください。キャンプ場の業務は、次のように分解できます。
- 受付とチェックイン対応
- 場内の巡回とマナーの声かけ
- サニタリー棟の清掃とゴミの処理
- 薪や物販の販売、レンタル品の管理
- 緊急時・トラブル時の対応
- 予約管理と問い合わせ対応
このうち、経験の浅いスタッフでも任せられるのは清掃と物販、判断が必要なのは巡回とトラブル対応です。マニュアル化できる業務とできない業務を分けることで、スポット人材にどこまで任せられるかが見えてきます。
受付時間とチェックイン時間の設計も、人員に直結します。チェックインを13時から17時に集約すれば、その時間帯に人を配置すれば済みます。アーリーチェックインを無制限に受けると、朝から夕方まで人が張り付くことになります。柔軟に対応することが顧客満足につながるのは確かですが、それが人件費として妥当かは別途検討してください。
夜間の体制も決めておく必要があります。管理人が常駐するのか、緊急連絡先だけを掲示して近隣から駆けつけるのか。深夜の騒音やマナー違反への対応、体調不良や事故への備え。この点は利用者の安全に関わりますので、コストだけで判断せず、最低限の対応ができる形を整えてください。
まとめ:運営設計は「平日と冬」から逆算する
キャンプ場の運営について、押さえるべき点を整理します。
①休日と平日の稼働率には極端な差があること。休日70〜80%に対し平日は5%程度とされます。この構造を前提にしないと、あらゆる計画が楽観的になります。
②予約はまず在庫の一元管理から。集客より先にダブルブッキングを防ぐ仕組みを整えてください。予約サイトで集客し、リピーターを自社予約へ育てるという二段構えが現実的です。
③キャンセルポリシーは明確に。警報と注意報の線引き、返金の実務、チェックイン後の扱い。基準を文章にしておけば、現場が判断に迷わずに済みます。
④伸びしろは閑散期にしかないこと。繁忙期は放っておいても埋まります。料金の使い分け、冬季の設備投資、そして法人・団体という別客層の開拓。ここに時間を使ってください。
⑤人員は閑散期を基準に。コア人員を最小限にし、繁忙期はスポットで増やす。この二層構造が、通年で成り立つ体制です。
キャンプ場は、季節と天候という自分ではどうにもならない要素に強く左右される事業です。だからこそ、コントロールできる部分——料金設計、ポリシー、人員配置、そして客層の開拓——を丁寧に組み立てることが、収益の安定につながります。
なお、稼働率や単価の水準は立地と地域によって大きく異なります。この記事は一般的な考え方を整理したものですので、自施設の数字を記録しながら、ご自身の条件に合わせて調整していってください。データが溜まれば、打つべき手は自然と見えてきます。



平日5%という数字が衝撃でした…。でも逆に、そこを埋められれば伸びしろは大きいということですね。企業研修、営業に行ってみます!



いい着眼点です。法人利用は平日に動いてくれますし、単価も安定しますからね。あとは冬をどうするか。設備で答えを出せると強いですよ。



よし、では平日の稼働を上げるため、平日は無料開放します!人が集まれば繁盛店に見えますよね。



清掃とゴミの費用だけが増えると思いますよ。







