助手セバスチャン民泊の管理委託費を調べていたんですが…売上のかなりの割合を持っていかれるんですね。これ、自分でやったらダメなんですか?



いい着眼点ですね。実は、できないわけではないんです。ただし条件があります。



えっ、できるんですか!じゃあ自分でやります!



家主不在型で自ら管理するには、自分が住宅宿泊管理業者として登録を受ける必要があるんです。民泊の制度は、事業者・管理業者・仲介業者という三者をそれぞれ別に規制していましてね。まずはこの構造から確認していきましょう。
民泊について調べていると、「住宅宿泊事業者」のほかに「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という言葉が出てきます。名前が似ているうえ、いずれも住宅宿泊事業法に登場するため、混同されやすい部分です。
しかし、この三者はまったく別の立場であり、手続きの種類も、申請先も、要件も異なります。住宅を提供して宿泊させるのが住宅宿泊事業者、その運営業務を受託するのが住宅宿泊管理業者、宿泊者と事業者を結びつけるのが住宅宿泊仲介業者です。制度は、この三者がそれぞれの責任を果たすことで健全に運営される設計になっています。
そして、この構造を理解しておくと、実務上の重要な選択肢が見えてきます。家主不在型の民泊では管理業者への委託が義務づけられていますが、自らが住宅宿泊管理業者の登録を受ければ、自分で管理できるのです。委託費の負担を考えると、検討に値する選択肢といえます。



本記事では、三者の関係を整理したうえで、管理業と仲介業それぞれの登録制度、そして自分で管理する場合の判断基準までを解説していきます。
民泊制度は「三者」で成り立っている|まず自分の立ち位置を確認


住宅宿泊事業法は次の三者を、それぞれ別の手続きで規制しています。
| 立場 | 役割 | 手続き | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 住宅宿泊事業者 | 住宅を提供して人を宿泊させる | 届出 | 都道府県知事等 |
| 住宅宿泊管理業者 | 事業者から委託を受けて運営業務を行う | 登録 | 国土交通大臣 |
| 住宅宿泊仲介業者 | 宿泊者と事業者の契約を仲介する | 登録 | 観光庁長官 |
注目していただきたいのが、手続きの種類も申請先もすべて違うという点です。事業者は「届出」で、窓口は物件所在地の都道府県知事等。管理業者は「登録」で、窓口は国土交通大臣。仲介業者も「登録」ですが、窓口は観光庁長官です。同じ法律のなかでも、規制の重さと所管が分かれているわけです。
なぜこのような設計になっているのでしょうか。住宅宿泊事業者は自分の住宅を活用する個人も想定されるため、参入障壁を下げる必要があります。一方、管理業者は他人の物件と宿泊者の安全を預かる立場であり、仲介業者は多数の取引を扱う立場です。責任の重さに応じて、参入時のチェックの厳しさが変えられている、と理解するとわかりやすいでしょう。
ここで押さえておきたいのが、一人が複数の立場を兼ねることもあるという点です。自分の住宅で民泊を営みながら、自ら管理業者として登録することもできます。また、管理業者が複数の事業者から委託を受けて、多数の物件を管理することも一般的です。
まず確認すべきは、自分がどの立場になろうとしているのかです。空き家を活用して宿泊事業を始めたいだけなら、必要なのは事業者としての届出です。他人の民泊物件の運営を請け負うビジネスを考えているなら管理業の登録が必要になり、民泊の予約サイトを立ち上げたいなら仲介業の登録が必要になります。次章から、それぞれを詳しく見ていきましょう。
あわせて読みたい:民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出方法は?手続きの流れと必要書類を解説
住宅宿泊管理業者とは?登録が必要になる2つのケース
住宅宿泊管理業者とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて住宅宿泊管理業務を行う事業者です。ここでいう管理業務とは、法律が事業者に課している各種の措置を代行することと、届出住宅の維持保全を行うことを指します。
具体的には、次のような業務が含まれます。
- 居室の清掃をはじめとする衛生の確保
- 宿泊者名簿の作成と備付け
- 騒音防止など、周辺地域の生活環境への配慮に関する宿泊者への説明
- 近隣住民からの苦情への対応
- 外国人宿泊者に対する外国語での案内
- 標識の掲示、届出住宅の維持保全
つまり、民泊の運営実務のほぼ全般です。鍵の受け渡しやチェックイン対応、清掃、緊急時の駆けつけといった日常業務がここに含まれます。
では、登録が必要になるのはどのようなケースでしょうか。大きく2つあります。
ケース1|他人の民泊物件の管理を受託する場合 不動産管理会社や運営代行業者が、複数のオーナーから民泊の運営を請け負うビジネスモデルです。報酬を得て管理業務を行う以上、登録が必要になります。近年、賃貸管理業や不動産業からこの分野に参入する事業者が増えています。
ケース2|家主不在型の民泊を自分で管理したい場合 こちらが、事業者側の読者にとって重要な選択肢です。住宅宿泊事業法では、届出住宅の居室数が5を超えるとき、または宿泊させる間に家主が不在となるとき(一時的な不在を除く)は、住宅宿泊管理業務の全部を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならないとされています。
ただし、この委託義務には例外があります。住宅宿泊事業者自身が住宅宿泊管理業者である場合において、自ら管理業務を行うときは委託が不要とされているのです。つまり、自分で管理業の登録を受けてしまえば、外部への委託は必要ありません。
なお、条文が「一の住宅宿泊管理業者に委託」と定めている点にも注意が必要です。清掃はA社、苦情対応はB社というように業務を分割して複数社に委託することは想定されていません。委託するなら、管理業務の全部を1社にまとめて委託することになります。
住宅宿泊管理業の登録要件と手続き|実務経験・講習・財産的基礎
住宅宿泊管理業の登録は、国土交通大臣に対して申請し、有効期間は5年間です。5年ごとに更新を受けなければ、登録は効力を失います。
登録の可否を左右するのは、大きく3つの要素です。
1|登録拒否事由に該当しないこと 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者、過去5年以内に登録を取り消された者、過去5年以内に禁錮以上の刑に処せられた者、暴力団員等などが該当します。法人の場合は役員も審査の対象になるため、共同で事業を行う場合は早い段階の確認が欠かせません。
2|財産的基礎を有すること 財務面の健全性が問われます。具体的には、負債の合計額が資産の合計額を超えないこと、すなわち債務超過でないこと、そして支払不能の状態に陥っていないことが求められます。他人の物件と宿泊者を預かる立場である以上、事業を継続できる財務基盤が必要という趣旨です。
3|業務を適正に遂行するための体制があること 実務上、最も検討が必要になるのがこの要件です。次のいずれかに該当することを示す必要があります。
- 登録実務講習を修了していること
- 人の居住の用に供する家屋または家屋の部分の取引または管理に関する契約の締結に関する実務に、2年以上従事した経験があること
- 宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸住宅管理業に関する登録証明などを有すること
ここで重要なのは、不動産関係の実務経験や資格がなくても、登録実務講習を修了すれば要件を満たせるという点です。これから民泊管理に参入したい方や、自分の物件を自分で管理したい事業者にとって、現実的な入口が用意されているということになります。
このほか、苦情に対応するための人員配置、情報通信技術を活用する場合の機器の整備といった業務実施体制も確認されます。
費用面も確認しておきましょう。
| 区分 | 費用 |
|---|---|
| 新規登録 | 登録免許税 9万円 |
| 更新登録 | 登録手数料 19,700円(電子申請の場合 19,100円) |
新規登録時の9万円に加えて、登録実務講習を受講する場合はその受講料が別途必要です。5年ごとの更新は2万円弱ですから、継続コストとしては大きな負担ではありません。
なお、登録を受けたあとは、管理受託契約の締結前に書面を交付して説明する義務、業務に関する帳簿の備付け、標識の掲示といった義務が課されます。また、管理業務の全部を他者に再委託することは禁止されています。登録を受けた事業者が責任を持って業務を遂行することが、制度の前提になっているためです。
住宅宿泊仲介業者とは?予約サイトを運営するなら登録が必要
住宅宿泊仲介業者とは、報酬を得て宿泊者と住宅宿泊事業者の間の契約を仲介する事業者です。いわゆる民泊予約サイトの運営者がこれに当たります。
法律上の住宅宿泊仲介業務は、宿泊者のために届出住宅における宿泊サービスの提供を受けることについて代理・媒介・取次ぎをする行為、および住宅宿泊事業者のために宿泊者への宿泊サービスの提供について代理・媒介をする行為とされています。要するに、両者を結びつけて予約を成立させる行為全般です。
登録先は観光庁長官で、有効期間は管理業と同じく5年間です。費用は次のとおりです。
| 区分 | 費用 |
|---|---|
| 新規登録 | 登録免許税 9万円 |
| 更新登録 | 登録手数料 26,500円(電子申請の場合 25,700円) |
登録拒否事由は管理業と同様に、破産手続中の者、過去5年以内に登録を取り消された者、禁錮以上の刑や罰金刑を受けた者、暴力団員等が挙げられており、加えて財産的基礎と法令遵守体制が求められます。
ここで実務上重要なのが、旅行業者は住宅宿泊仲介業の登録を受ける必要がないという点です。住宅宿泊事業法は、住宅宿泊仲介業を「旅行業法に規定する旅行業者以外の者が、報酬を得て、仲介行為を行う事業」と定義しています。定義の段階で旅行業者が除かれているため、すでに旅行業の登録を受けている事業者は、その枠内で民泊の仲介を行えることになります。旅行業を営みながら民泊の取扱いを始めたい場合、新たな登録は不要というわけです。
逆に、旅行業者ではない事業者が民泊の予約サイトを運営するなら、住宅宿泊仲介業の登録が必要です。なお、観光庁長官の登録を受ければ、旅行業法第3条の規定にかかわらず住宅宿泊仲介業を営めるとされています。
登録後の主な義務としては、住宅宿泊仲介業約款を定めて実施前に観光庁長官へ届け出ること、料金を公示すること、そして違法な民泊への宿泊を斡旋しないことが挙げられます。仲介サイトが届出番号を確認する仕組みを設けているのは、この義務に対応するためです。無届の物件や行政処分を受けた物件は掲載できないという運用は、事業者側にとっても大きな意味を持ちます。
自分で管理したい人はどうする?委託と自己登録の分かれ目
ここまでを踏まえて、事業者にとって最も実務的な論点を整理します。家主不在型の民泊を営む場合、外部の管理業者に委託するか、自ら管理業の登録を受けるかという選択です。
判断材料を並べてみましょう。
| 項目 | 外部委託 | 自ら登録 |
|---|---|---|
| 初期費用 | ほぼ不要 | 登録免許税9万円+登録実務講習の受講料 |
| 継続費用 | 管理委託費(売上に応じた料率が一般的) | 5年ごとの更新19,700円(電子申請19,100円) |
| 業務負担 | 清掃・苦情対応などを任せられる | すべて自分で行う(外注は可能だが責任は残る) |
| 体制要件 | 不要 | 実務経験・資格・登録実務講習のいずれかが必要 |
| 財務要件 | 不要 | 債務超過でないことなどが求められる |
金額だけを見れば、自ら登録するほうが有利に見えます。登録免許税9万円と講習費用は初回のみで、その後の固定費は5年ごとの2万円弱にすぎません。一方、管理委託費は売上に連動して発生し続けます。物件数が増えるほど、また稼働率が高いほど、自己登録の相対的な有利さは増していきます。
しかし、ここには見落としてはならない要素があります。登録は費用を減らす手段ではなく、責任を引き受ける選択だという点です。自ら管理業者となれば、清掃、鍵の受け渡し、宿泊者名簿の管理、そして近隣からの苦情対応をすべて自分で担うことになります。とくに苦情対応は、深夜や早朝であっても求められる性質のものです。物件から遠方に住んでいる場合、現実的に対応できるかを冷静に見極める必要があります。
清掃などの個別業務を外注すること自体は可能ですが、管理業務の全部を再委託することは禁止されています。登録を受けた者が責任の主体であり続けるという建て付けだからです。


判断の目安としては、次のように整理できます。物件が1件で、しかも自宅から遠いなら、外部委託が現実的です。委託費は保険料と考えるべき場面といえます。一方、複数物件を運営する予定がある、物件が近隣にある、不動産関連の実務経験があるといった条件が揃うなら、自ら登録する意義は大きくなります。
なお、登録を受ければ、他人の物件の管理を受託することも可能になります。自分の物件で運営ノウハウを蓄積し、それを事業として展開していく道も開けるということです。空き家の活用に悩むオーナーは各地にいますから、地域に密着した管理業者としての需要は小さくありません。単なるコスト削減策としてではなく、事業の選択肢を広げる手段として検討する価値があります。
あわせて読みたい:旅館業・民泊新法・特区民泊はどれを選ぶ?3制度の違いを比較表で解説
まとめ:自分がどの立場かを決めてから手続きに進む
住宅宿泊事業法は、住宅宿泊事業者・住宅宿泊管理業者・住宅宿泊仲介業者という三者を、それぞれ別の手続きで規制しています。事業者は都道府県知事等への届出、管理業者は国土交通大臣の登録、仲介業者は観光庁長官の登録です。名前は似ていますが、申請先も要件もまったく異なります。
住宅宿泊管理業の登録が必要になるのは、他人の民泊物件の管理を受託する場合と、家主不在型の民泊を自分で管理したい場合の2つです。登録には、登録拒否事由に該当しないこと、債務超過でないなどの財産的基礎、そして業務を適正に遂行するための体制が求められます。体制要件は、2年以上の実務経験や宅地建物取引士などの資格のほか、登録実務講習の修了でも満たせます。不動産の経験がなくても入口があるということです。費用は新規登録時の登録免許税9万円と、5年ごとの更新手数料19,700円(電子申請19,100円)です。
住宅宿泊仲介業の登録は、民泊予約サイトを運営する場合に必要になります。費用は登録免許税9万円と更新手数料26,500円(電子申請25,700円)です。すでに旅行業の登録を受けている事業者は、この登録は不要です。法律上の定義から旅行業者が除かれているためです。
そして、事業者にとって実務的に重要なのが、家主不在型で委託するか自ら登録するかという選択です。費用面では自己登録が有利になりやすい一方、清掃から深夜の苦情対応まですべての責任を負うことになります。物件数、立地、自分が使える時間を踏まえて判断してください。
なお、登録要件の詳細、申請書類の様式、講習の実施状況などは変更されることがあります。手続きを進める際は、国土交通省・観光庁および民泊制度ポータルサイトの最新情報を必ずご確認ください。



なるほど…!自分で登録すれば委託しなくていいんですね。しかも講習を受ければ資格がなくても登録できると。でも、深夜の苦情対応まで全部自分というのは、ちょっと考えものです…。



そこが分かれ目ですね。物件が近くて複数運営するなら自己登録、1件だけで遠方なら委託。費用だけでなく、自分が動ける範囲で決めるのが結局いちばん続きます。



よし、決めました!自分で登録して、苦情の電話は全部留守番電話にします。これで24時間対応です!



それは対応しているのではなく、放置していると言うんじゃないでしょうか。




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