標準旅行業約款・渡航手続代行契約の部を解説!


渡航手続代行契約の部はどんな契約なんですか?



一言でいうと、パスポートやビザの取得を旅行会社が行う場合の義務などを定めた契約です。これまでと重複する部分は割愛し、渡航手続代行契約に特有な部分について解説していきます。


渡航手続代行契約を締結する旅行者
第二条 当社が渡航手続代行契約を締結する旅行者は、当社と募集型企画旅行契約、受注型企画旅行契約若しくは手配旅行契約を締結した旅行者又は当社が受託している他の旅行業者の募集型企画旅行について当社が代理して契約を締結した旅行者とします。
渡航手続代行契約の相手方について、確認的に示した規定です。
渡航手続代行契約の定義
第三条 この約款で「渡航手続代行契約」とは、当社が渡航手続の代行に対する旅行業務取扱料金(以下「渡航手続代行料金」といいます。)を収受することを約して、旅行者の委託により、次に掲げる業務(以下「代行業務」といいます。)を行うことを引き受ける契約をいいます。
一 旅券、査証、再入国許可及び各種証明書の取得に関する手続
二 出入国手続書類の作成
三 その他前各号に関連する業務
渡航手続代行契約の定義について規定しており、パスポートやビザの取得手続き、出入国手続きを有償で請け負う契約を指します。
守秘義務
第五条 当社は、受託業務を行うに当たって知り得た情報を他に漏らすことのないようにいたします。
パスポートやビザの取得にあたっては、旅行者の極めて重要な個人情報を扱うことになるので、知りえた情報を他に漏らすことがないことを約定しています。
旅行者の義務
第六条 旅行者は、当社が定める期日までに、渡航手続代行料金を支払わなければなりません。
2 旅行者は、当社が定める期日までに、受託業務に必要な書類、資料その他の物(以下「渡航手続書類等」といいます。)を当社に提出しなければなりません。
3 当社が、受託業務を行うに当たって、本邦の官公署、在日外国公館その他の者に、手数料、査証料、委託料その他の料金(以下「査証料等」といいます。)を支払わなければならないときは、旅行者は、当社が定める期日までに当社に対して当該査証料等を支払わなければなりません。
4 受託業務を行うに当たって、郵送費、交通費その他の費用が生じたときは、旅行者は、当社が定める期日までに当社に対して当該費用を支払わなければなりません。
旅行者の4つの債務を規定しています。
契約の解除
第七条 旅行者は、いつでも渡航手続代行契約の全部又は一部を解除することができます。
2 当社は、次に掲げる場合において、渡航手続代行契約を解除することがあります。
一 旅行者が、所定の期日までに渡航手続書類等を提出しないとき。
二 当社が、旅行者から提出された渡航手続書類等に不備があると認めたとき。
三 旅行者が、渡航手続代行料金、査証料等又は前条第四項の費用を所定の期日までに支払わないとき。
四 旅行者が第四条第四項第一号から第三号までのいずれかに該当することが判明したとき。
五 第三条第一号の代行業務を引き受けた場合において、旅行者が、当社の責に帰すべき事由によらず、旅券、査証又は再入国許可(以下「旅券等」といいます。)を取得できないおそれが極めて大きいと当社が認めるとき。
3 前二項の規定に基づいて渡航手続代行契約が解除されたときは、旅行者は、既に支払った査証料等及び前条第四項の費用を負担するほか、当社に対し、当社が既に行った受託業務に係る渡航手続代行料金を支払わなければなりません。
契約の解除事由について定めており、旅行者はいつでも契約を解除できる一方、旅行業者は第二項に定めた5つの場合に限って契約解除が可能としています。
なお、途中で解除された場合、既に発生した費用を旅行者は負担しなければなりません。
当社の責任
第八条 当社は、渡航手続代行契約の履行に当たって、当社が故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、その損害を賠償する責に任じます。ただし、損害発生の翌日から起算して六月以内に当社に対して通知があったときに限ります。
2 当社は、渡航手続代行契約により、実際に旅行者が旅券等を取得できること及び関係国への出入国が許可されることを保証するものではありません。したがって、当社の責に帰すべき事由によらず、旅行者が旅券等の取得ができず、又は関係国への出入国が許可されなかったとしても、当社はその責任を負うものではありません。
旅行業者の損害賠償責任について規定しています。渡航手続代行契約における旅行業者の責任は、パスポート・ビザの取得に必要な事務処理の遂行であり、結果についての責任は負っていません。なお、旅行業者の故意又は過失によって損害が生じたときは、6か月以内の通知が必要です。



海外旅行を扱わない場合には使用しない部ということですね。



そうですね。旅行業務取扱管理者試験では標準旅行業約款も試験科目となっていますが、国内旅行業務取扱管理者試験では出題されない部分になっています。