バーや居酒屋で必要な場合あり!深夜酒類提供飲食店営業届とは?

セバスチャン

飲食店を開業する場合、必要な許可は飲食営業許可だけですか?

川崎行政書士

一般的には保健所が窓口となる「食品営業許可」で事足りますが、業態によっては別途許可や届出が必要になる場合があります。

飲食店で通常必要になるのは食品衛生法に定める食品営業許可ですが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称風営法)という法律とも関連しており、営業形態によっては風営法に定める許可や届出が必要になる場合があります(ここでいう風俗営業は、いわゆる性風俗とは異なります)。

中でもバーや居酒屋などを営業する際に必要になる場合も多いのが「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」です。

川崎行政書士

深夜酒類提供飲食店営業届出とはどんな届出なのか、必要になるケースや手続きの流れを解説します。

目次

深夜酒類提供飲食店営業届出とは?

深夜酒類提供飲食店営業届出は、正式には「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」と呼ばれ、風営法に規定されています。

簡単に言うと、お酒をメインに提供するバーや居酒屋で、かつ深夜0時以降も営業する場合には、この届出が必要となります。したがって、深夜0時より前に閉店する場合はこの届出は不要です。また、深夜0時を超えて営業する場合であっても、食事(主食)をメインに提供する飲食店は該当しません。

届出が必要な具体例

翌朝まで営業しているバー、深夜1時まで営業する居酒屋やダイニングバーなど

届出が不要な具体例

23時に営業終了する居酒屋、24時間営業のファミレス、深夜1時まで営業するラーメン屋など

営業できる条件

深夜酒類提供飲食店営業はどんな場合でも営業できるわけではなく、一定の条件を満たしていなければなりません。具体的には以下の要件があります。

営業禁止エリアに該当しないこと

深夜酒類提供飲食店営業は行政が定める一定のエリアでは営業ができません。都市計画法上の用途地域が住居系ではないことが条件で、一般的な住宅街などでは営業不可とされます。

  • 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・田園住居地域
  • 第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域 ※一定の条件を満たせば可能な場合あり

一定の構造設備基準を満たすこと

店舗の構造・設備について一定の条件を満たす必要があります。主に以下の事項が要求されます。

  • 客室(個室)を2室以上設ける場合は1室を9.5㎡以上にすること
  • 客室内の見通しを妨げる設備がないこと
  • 照度が20ルクス以上であること

「20ルクス」とはどのくらいの明るさなのでしょうか?「10m離れた人の顔や行動が識別できる程度の明るさ」と言われますが、いまいちピンときませんよね。参考に私の部屋で測定した画像をご覧ください。

この明るさで24ルクス

写真はiPhoneで撮影しているので、実際の視界よりも明るめに写っていますが、映画館の半照明ぐらいのイメージでしょうか。

ちなみに使用したのはこちら↓のアプリです。

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手続きの流れ

では、届出が必要な場合はどのような手続きが必要になるのでしょうか。流れとしては以下のようになっています。

  • 所轄の警察署へ相談・届出書と添付図面の作成
  • 食品営業許可の取得
  • 警察署へ届出書類の提出
  • 届出から10日後から営業可能

①相談・書類作成

現在計画している営業が届出対象かどうかを所轄の警察署へ相談します。併せて添付が必要な書類も確認します。

届出が必要なことが確認されたら、届出書の記入と添付書類の収集を行います。

②食品営業許可の取得

基本的に保健所から交付された食品営業許可の写しが添付書類として必要になるので、食品営業許可が下りるのを待ちます。

③警察署へ提出

食品営業許可が下りたら提出を行います。

④10日後から営業可能

届出が完了してから10日後に営業を開始できるようになります。

必要書類

届出が必要な書類は以下の通りです。なお、地域によっては追加で書類を求められることがあるので、所轄の警察署への確認が必要です。

  • 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
  • 営業の方法
  • 営業所の図面類
    • 営業所平面図、営業所および客室面積求積図、音響照明設備配置図など
  • 賃貸借契約書
  • 住民票-本籍地記載(個人の場合)
  • 定款の写し(法人の場合)
  • 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  • 役員全員の住民票-本籍地記載(法人の場合)
  • 食品営業許可証の写し

物件の使用承諾書が求められる場合などもあります。

深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)/警視庁HP

セバスチャン

図面の作成も必要になるのですね…

川崎行政書士

図面は手書きでもよいとされていますが、求積図など複数の図面が必要になるので専用ソフトを用いた方が効率的です。
KC行政書士事務所では、図面作成も当事務所で行っております。飲食営業許可と併せての申請代行も可能ですので、手続きでお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

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