【観光バスの更新手続き】必要な書類・流れと更新できない要注意パターンを解説

観光バスは、道路運送法に定める一般貸切旅客自動車運送事業の許可を取得し営業しますが、5年ごとの更新制となっています。更新は2017年から導入された制度ですが、その主な目的は安全管理の維持です。
一般貸切旅客自動車運送事業の更新手続きは、新規の許可時と同等ボリュームの書類を用意しなければならないことに加え、過年度の事業実績の報告も加わるため書類作成がとても大変です。更新時期が近付いたら計画的に準備を進めることが大切です。
許可の更新時期
一般貸切旅客自動車運送事業許可の更新時期は、有効期間の満了日によって以下のように分けられています。
有効期間の満了の日 | 申請時期 |
---|---|
4月1日から6月30日まで | 同年2月中 |
7月1日から9月30日まで | 同年5月中 |
10月1日から12月31日まで | 同年8月中 |
1月1日から3月31日まで | 前年11月中 |
更新に必要な書類
更新には以下の書類を準備します。基本的に指定様式に従って作成します。
- 更新許可申請書
- 事業計画・事業概要や組織図などを添付します
- 宣誓書
- 許可条件を満たしていることを誓約する書面です
- 安全投資計画
- 更新日以降6年分の安全維持のための車両や設備の投資計画を作成します。部品のメンテナンスや交換時期についても様式に従って記入します。
- 事業収支見積書
- 更新日以降6年分の事業収支計画を作成します。費用項目により算出根拠となる書類の添付が必要です。
- 安全投資実績
- 過去5年分の車両や設備への投資実績を整理して記入します。
- 事業収支実績報告書
- 過去5年分の事業収支実績を様式に従って記入します。貸借対照表や損益計算書などの添付が必要です。
また、事業者の代表者は法令試験を受験し、合格しなければなりません。
更新手続きの流れ
更新手続きは基本的に以下の流れで進みます。
申請書の作成に必要な書類・添付書類の準備をします。過去数年分に渡って収集が必要な書類もあるので、書類の準備ではありますが、労力を要します。
許可更新申請書を作成していきます。
許可更新申請書を最寄りの運輸局へ提出し、申請を行います。
更新申請書の審査が行われます。標準処理期間は6か月とされています。
事業者の代表者は法令試験を受験します。
更新ができない3つのパターン
経営状況や法令遵守状況によっては更新ができない場合があります。具体的に以下の場合は要注意です。
直近3年間で赤字の場合
直近1事業年度の貸借対照表が債務超過かつ、直近3事業年度の損益計算書が連続で赤字の場合には、更新できません。ただし、親会社からの融資が確実に得られるなど、事業継続のための支援を受けることが説明できれば、更新が許可される場合もあります。
毎年連続して行政処分を受けた場合
新規許可・更新許可を受けたあとから毎年連続して行政処分を受けた場合は、更新できません。
行政処分を受けたのに運輸安全マネジメント評価を受けてない
行政処分をを受けた場合は認定された実施機関による運輸安全マネジメント評価を受けなければなりません。これを受けていない場合には、更新ができません。