キャンプ場沿いの川で釣りをさせたい!許可は必要?

レジャー観光業と許認可

キャンプ場を開設する際、渓流沿いの土地などであれば「お客さんに釣りをしてもらえる運営をしたい」と考えることもあるかと思います。川沿いの土地はそれだけで風情があり、恵まれたロケーションです。

しかし、川は基本的に公共用物であり、その態様によっては「河川法」に基づく許可が必要になる可能性があります。また、エリアが禁漁区として設定されている場合はそもそも魚釣りをしてはできませんし、漁業権が設定されている場合には遊漁券を購入する必要がある場合があります。

そこで、本記事では川沿いのキャンプ場が釣り可能の運営をしたい場合に、どのような規制に注意する必要があるかを解説します。

根拠法令:河川法

根拠法令:漁業法

河川の占用にあたるかどうか

原則として、河川は公共のもののため、誰でも自由に利用することができます。例えば川を散歩したり、入って遊んだり、「自由利用」には釣りも含まれ、個人的に釣りをする場合などは河川法上の規制を受けません

したがって、基本的にお客さんが釣りをするという行為自体には河川法は適用されないと考えられます。しかし、釣りそのものではなく、その環境を整えるために行う行為が規制を受ける可能性があります。

河川法の適用範囲

まず、世の中の川すべてが河川法の対象というわけではなく、一級河川または二級河川に指定されている場合に、河川法が適用されます。

一級河川…国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川
二級河川…一級河川以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したもの

→一級河川もしくは二級河川に該当するかは国土交通省のこちらのページなどが参考になります。

河川法で規制される行為

これらの河川では、管理をする上で支障が生じる恐れがある行為について制限されており、該当行為を行うためには河川法上の占用許可が必要になります。具体的には以下のような行為が規制されます。

・河川の水を取水する
・河川を排他・独占的に使用する
・河川に工作物を設置する
など

例えば、河川に釣りをしやすいように開拓して釣り台を設けるなどの行為は河川敷地の占用にあたり、河川管理者の許可(占用許可)が必要になる可能性があります。

許可申請の流れ

許可が必要なことが明らかな場合に加え、該当するか不明な場合にも管轄の行政機関へまずは相談を行い、申請書や図面などの添付書類を揃えて申請します。

地域住民への影響や治水・利水に支障をきたさないかなどが検討され、問題なければ占用許可を得られます。

遊漁券は必要?

渓流で釣りをする場合、ほとんどの場合で遊漁券の購入が必要になります。遊漁券とは個人で川釣りをする場合に購入・釣りをしている最中は携帯することで「魚釣りをする権利」のようなものです。

川の魚などの水産資源は地域の漁業協同組合(漁協)によって管理されています。濫用的に釣りを行われてしまえば魚が生息できなくなり水産資源が枯渇してしまう危険性があります。こうした事態を防ぎ水産資源を持続的に確保するために制定されているのが「漁業法」であり、この法律により保護されるのが「漁業権」という漁協の権利です。

つまり、川の魚は公共のものではなく漁協のものと言えるので、これを釣るために遊漁券が必要というわけです。

遊漁券が必要な川を調べるには

現状世の中の河川のほとんどには漁業権が設定されており遊漁券が必要と言われています。

「〇〇川 遊漁券」などで検索するとその適用エリアや管轄の漁業組合が調べられます。

遊漁券があればなんでも釣っていいわけではない

また、そもそも安全性や生物保護の観点から遊漁規則などで禁漁区に設定されている場合には釣りをすることはできません。釣りをできる場所でも特定の種類の魚については採捕が禁止されている場合もあります。特定の時期の釣りを禁止している場合もあります。

いずれにしろ、河川ごとにルールが定められているので、そのルールを理解して釣りをする必要があるのです。

キャンプ場事業者がすべきこと

以上は個人が渓流で釣りをする場合の概要ですが、キャンプ場の隣接した川で釣りをする場合にも基本的には変わらず、釣りをする人が遊漁券を購入して携帯する必要があります。

釣りができる多くのキャンプ場では、この遊漁券をキャンプ場の受付などで購入できる体制を整えています。したがって、キャンプ場事業者は管理をしている漁協に代理販売の可否などを問い合わせることから始める流れになるでしょう。

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