標準旅行業約款・募集型企画旅行契約の部を解説!

セバスチャン

標準旅行業約款って長すぎませんか?

川崎行政書士

5つの部と特別補償規程の項目があるのでボリューミーに感じるのは仕方ありません。しかし、重複する条項もありますし、各部に書かれている内容は本質的な部分で変わらないので、募集型企画旅行の部と特別補償規程を理解すれば、あとはスムーズに読み進めることができると思いますよ。

セバスチャン

なるほど!それを聞いたら少し希望が見えてきました!

川崎行政書士

では、まずは募集型企画旅行の部から見ていきましょう。ぜひ原文にも目を通してみてくださいね。

目次

第一章:総則

適用範囲

第一条 当社が旅行者との間で締結する募集型企画旅行に関する契約(以下「募集型企画旅行契約」といいます。)は、この約款の定めるところによります。この約款に定めのない事項については、法令又は一般に確立された慣習によります。
2 当社が法令に反せず、かつ、旅行者の不利にならない範囲で書面により特約を結んだときは、前項の規定にかかわらず、その特約が優先します。

「約款に定めのない事項については、法令又は一般に確立された慣習によ」るとありますが、約款は想定されるすべてについてあれこれと定めることは不可能です。そのため、この文言により約款に定めがない事項についてトラブルが発生した際の解決の基準が示されています。

契約内容について特約を定めることも可能ですが、法令に反せず旅行者の不利にならないように書面で締結することを付記することで、標準旅行業約款の認可制の趣旨を逸脱しないよう制限がかけられています。

用語の定義

第二条 この約款で「募集型企画旅行」とは、当社が、旅行者の募集のためにあらかじめ、旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービスの内容並びに旅行者が当社に支払うべき旅行代金の額を定めた旅行に関する計画を作成し、これにより実施する旅行をいいます。
2 この約款で「国内旅行」とは、本邦内のみの旅行をいい、「海外旅行」とは、国内旅行以外の旅行をいいます。
3 この部で「通信契約」とは、当社が、当社又は当社の募集型企画旅行を当社を代理して販売する会社が提携するクレジットカード会社(以下「提携会社」といいます。)のカード会員との間で電話、郵便、ファクシミリ、インターネットその他の通信手段による申込みを受けて締結する募集型企画旅行契約であって、当社が旅行者に対して有する募集型企画旅行契約に基づく旅行代金等に係る債権又は債務を、当該債権又は債務が履行されるべき日以降に別に定める提携会社のカード会員規約に従って決済することについて、旅行者があらかじめ承諾し、かつ当該募集型企画旅行契約の旅行代金等を第十二条第二項、第十六条第一項後段、第十九条第二項に定める方法により支払うことを内容とする募集型企画旅行契約をいいます。
4 この約款で「カード利用日」とは、旅行者又は当社が募集型企画旅行契約に基づく旅行代金等の支払又は払戻債務を履行すべき日をいいます。

募集型企画旅行の定義および本約款で登場する用語について明確にしておくことで、認識の齟齬を防いでいます。

募集型企画旅行とは、旅行業者が「あらかじめ」「旅程と提供サービス内容」と「料金」を定めた計画を作成している旅行のことです。

国内旅行は本邦内のみの旅行、海外旅行は国内旅行以外の旅行です。つまり、日本&韓国ツアーのような国外を含む旅行は海外旅行に分類されます。どちらに分類されるかによって、のちのち登場する取消料・違約料の額や特別補償の扱いについて違いが出てきます。

また、通信契約を通常の契約と分けて定義しています。通信契約とは、つまりクレジットカード決済による契約のことで、契約の締結拒否自由、契約の成立時期、旅行代金の支払期日、鶏軽量の支払い、解除事由、旅行代金の払戻において違いが出てきます。

旅行契約の内容

第三条 当社は、募集型企画旅行契約において、旅行者が当社の定める旅行日程に従って、運送・宿泊機関等の提供する運送、宿泊その他の旅行に関するサービス(以下「旅行サービス」といいます。)の提供を受けることができるように、手配し、旅程を管理することを引き受けます。

旅行業者が旅行者に提供するサービス、つまり旅行業者にとっての債務の内容を定義しています。

手配代行者

第四条 当社は、募集型企画旅行契約の履行に当たって、手配の全部又は一部を本邦内又は本邦外の他の旅行業者、手配を業として行う者その他の補助者に代行させることがあります。

ホテルや運送機関などの手配を他の旅行業者やいわゆるランドオペレーターが代行する場合があることを示しています。

第二章:契約の締結

契約の申込み

第五条 当社に募集型企画旅行契約の申込みをしようとする旅行者は、当社所定の申込書(以下「申込書」といいます。)に所定の事項を記入の上、当社が別に定める金額の申込金とともに、当社に提出しなければなりません。
2 当社に通信契約の申込みをしようとする旅行者は、前項の規定にかかわらず、申込みをしようとする募集型企画旅行の名称、旅行開始日、会員番号その他の事項(以下次条において「会員番号等」といいます。)を当社に通知しなければなりません。
3 第一項の申込金は、旅行代金又は取消料若しくは違約料の一部として取り扱います。
4 募集型企画旅行の参加に際し、特別な配慮を必要とする旅行者は、契約の申込時に申し出てください。このとき、当社は可能な範囲内でこれに応じます。
5 前項の申出に基づき、当社が旅行者のために講じた特別な措置に要する費用は、旅行者の負担とします。

申込みの方法について、申込書の記入+申込金の支払いが必要であることを定めています。ただし、通信契約の場合は、クレジットカード決済のための必要事項の通知を要求しています。

また、特別な配慮を要する場合は、可能な範囲で応じること、関わる費用は旅行者の負担とすることが示されています。

電話等による予約

第六条 当社は、電話、郵便、ファクシミリ、インターネットその他の通信手段による募集型企画旅行契約の予約を受け付けます。この場合、予約の時点では契約は成立しておらず、旅行者は、当社が予約の承諾の旨を通知した後、当社が定める期間内に、前条第一項又は第二項の定めるところにより、当社に申込書と申込金を提出又は会員番号等を通知しなければなりません。
2 前項の定めるところにより申込書と申込金の提出があったとき又は会員番号等の通知があったときは、募集型企画旅行契約の締結の順位は、当該予約の受付の順位によることとなります。
3 旅行者が第一項の期間内に申込金を提出しない場合又は会員番号等を通知しない場合は、当社は、予約がなかったものとして取り扱います。

契約の予約が可能なことを定めています。予約後に申込金の提出又はクレジットカードの会員番号等の通知がなければ契約は成立しませんが、予約により順番が確保されることが示されています。

契約締結の拒否

第七条 当社は、次に掲げる場合において、募集型企画旅行契約の締結に応じないことがあります。
一 当社があらかじめ明示した性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないとき。
二 応募旅行者数が募集予定数に達したとき。
三 旅行者が他の旅行者に迷惑を及ぼし、又は団体行動の円滑な実施を妨げるおそれがあるとき。
四 通信契約を締結しようとする場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効である等、旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できないとき。
五 旅行者が、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、暴力団関係企業又は総会屋等その他の反社会的勢力であると認められるとき。
六 旅行者が、当社に対して暴力的な要求行為、不当な要求行為、取引に関して脅迫的な言動若しくは暴力を用いる行為又はこれらに準ずる行為を行ったとき。
七 旅行者が、風説を流布し、偽計を用い若しくは威力を用いて当社の信用を毀損し若しくは当社の業務を妨害する行為又はこれらに準ずる行為を行ったとき。
八 その他当社の業務上の都合があるとき。

本条に定めた事由に該当すると、契約を拒否する場合があることを定めています。

契約の成立時期

第八条 募集型企画旅行契約は、当社が契約の締結を承諾し、第五条第一項の申込金を受理した時に成立するものとします。
2 通信契約は、前項の規定にかかわらず、当社が契約の締結を承諾する旨の通知が旅行者に到達した時に成立するものとします。

契約の成立するタイミングを定めています。旅行業者が申込金を受理した時点、通信契約の場合は旅行者に承諾の通知が到達した時点となります。

契約書面の交付

第九条 当社は、前条の定める契約の成立後速やかに、旅行者に、旅行日程、旅行サービスの内容、旅行代金その他の旅行条件及び当社の責任に関する事項を記載した書面(以下「契約書面」といいます。)を交付します。
2 当社が募集型企画旅行契約により手配し旅程を管理する義務を負う旅行サービスの範囲は、前項の契約書面に記載するところによります。

旅行業社は、契約成立後速やかに旅行サービスの具体的内容を記載した契約書面を交付することを定めています。

確定書面

第十条 前条第一項の契約書面において、確定された旅行日程、運送若しくは宿泊機関の名称を記載できない場合には、当該契約書面において利用予定の宿泊機関及び表示上重要な運送機関の名称を限定して列挙した上で、当該契約書面交付後、旅行開始日の前日(旅行開始日の前日から起算してさかのぼって七日目に当たる日以降に募集型企画旅行契約の申込みがなされた場合にあっては、旅行開始日)までの当該契約書面に定める日までに、これらの確定状況を記載した書面(以下「確定書面」といいます。)を交付します。
2 前項の場合において、手配状況の確認を希望する旅行者から問い合わせがあったときは、確定書面の交付前であっても、当社は迅速かつ適切にこれに回答します。
3 第一項の確定書面を交付した場合には、前条第二項の規定により当社が手配し旅程を管理する義務を負う旅行サービスの範囲は、当該確定書面に記載するところに特定されます。

前条の契約書面で確定できなかった内容について、確定書面(いわゆる最終日程表)を遅くとも旅行開始日の前日(7日前以降の申込みの場合は当日)までに交付することを定めています。

募集型企画旅行では、募集段階では航空機や運送機関・宿泊施設などについてすべての手配は完了していないのが通常です。そのため、契約書面とは別に確定書面として旅行サービスの具体的内容を知らせる形をとります。

なお、往復の航空券とホテルのみの手配のいわゆるフリープランとして契約書面で確定事項を記載できる場合には、改めて確定書面を交付する必要はありません。

情報通信の技術を利用する方法

第十一条 当社は、あらかじめ旅行者の承諾を得て、募集型企画旅行契約を締結しようとするときに旅行者に交付する旅行日程、旅行サービスの内容、旅行代金その他の旅行条件及び当社の責任に関する事項を記載した書面、契約書面又は確定書面の交付に代えて、情報通信の技術を利用する方法により当該書面に記載すべき事項(以下この条において「記載事項」といいます。)を提供したときは、旅行者の使用する通信機器に備えられたファイルに記載事項が記録されたことを確認します。
2 前項の場合において、旅行者の使用に係る通信機器に記載事項を記録するためのファイルが備えられていないときは、当社の使用する通信機器に備えられたファイル(専ら当該旅行者の用に供するものに限ります。)に記載事項を記録し、旅行者が記載事項を閲覧したことを確認します。

旅行者の承諾を得たうえで、メールなどで各書面を交付することが可能であること、その場合の旅行業者の確認義務について定めています。

旅行代金

第十二条 旅行者は、旅行開始日までの契約書面に記載する期日までに、当社に対し、契約書面に記載す
る金額の旅行代金を支払わなければなりません。
2 通信契約を締結したときは、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして
契約書面に記載する金額の旅行代金の支払いを受けます。また、カード利用日は旅行契約成立日としま
す。

旅行代金の支払いは前払いによることが示されています。通信契約の場合は、カード利用日は旅行業者が承諾の旨を通知した時となります。

第三章:契約の変更

契約内容の変更

第十三条 当社は、天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令、当初の運行計画によらない運送サービスの提供その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施を図るためやむを得ないときは、旅行者にあらかじめ速やかに当該事由が関与し得ないものである理由及び当該事由との因果関係を説明して、旅行日程、旅行サービスの内容その他の募集型企画旅行契約の内容(以下「契約内容」といいます。)を変更することがあります。ただし、緊急の場合において、やむを得ないときは、変更後に説明します。

やむを得ない場合には契約内容を変更する場合があることを定めています。天変地異、戦乱、暴動、運送・宿泊機関のサービス提供中止、官公署の命令など、旅行業者が関与しえない事由に限られ、原則事前の説明を求めています。緊急の場合は事後説明の場合もあることを示しています。

旅行代金の額の変更

第十四条 募集型企画旅行を実施するに当たり利用する運送機関について適用を受ける運賃・料金(以下この条において「適用運賃・料金」といいます。)が、著しい経済情勢の変化等により、募集型企画旅行の募集の際に明示した時点において有効なものとして公示されている適用運賃・料金に比べて、通常想定される程度を大幅に超えて増額又は減額される場合においては、当社は、その増額又は減額される金額の範囲内で旅行代金の額を増加し、又は減少することができます。
2 当社は、前項の定めるところにより旅行代金を増額するときは、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって十五日目に当たる日より前に旅行者にその旨を通知します。
3 当社は、第一項の定める適用運賃・料金の減額がなされるときは、同項の定めるところにより、その
減少額だけ旅行代金を減額します。
4 当社は、前条の規定に基づく契約内容の変更により旅行の実施に要する費用(当該契約内容の変更のためにその提供を受けなかった旅行サービスに対して取消料、違約料その他既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用を含みます。)の減少又は増加が生じる場合(費用の増加が、運送・宿泊機関等が当該旅行サービスの提供を行っているにもかかわらず、運送・宿泊機関等の座席、部屋その他の諸設備の不足が発生したことによる場合を除きます。)には、当該契約内容の変更の際にその範囲内において旅行代金の額を変更することがあります。
5 当社は、運送・宿泊機関等の利用人員により旅行代金が異なる旨を契約書面に記載した場合において、募集型企画旅行契約の成立後に当社の責に帰すべき事由によらず当該利用人員が変更になったときは、契約書面に記載したところにより旅行代金の額を変更することがあります。

旅行代金の増減について規定します。ただし、「著しい経済情勢の変化等により」「通常想定される程度を大幅に超えて」増減していることが要件で、増額する場合には旅行開始日の前日から15日より前に通知しなければなりません。

なお、増額された場合、旅行者は第16条の規定に基づき取消料なしでキャンセルが可能です。

旅行者の交替

第十五条 当社と募集型企画旅行契約を締結した旅行者は、当社の承諾を得て、契約上の地位を第三者に譲り渡すことができます。
2 旅行者は、前項に定める当社の承諾を求めようとするときは、当社所定の用紙に所定の事項を記入の上、所定の金額の手数料とともに、当社に提出しなければなりません。
3 第一項の契約上の地位の譲渡は、当社の承諾があった時に効力を生ずるものとし、以後、旅行契約上の地位を譲り受けた第三者は、旅行者の当該募集型企画旅行契約に関する一切の権利及び義務を承継するものとします。

旅行者は旅行業社の承諾を得たうえで別の者に旅行サービスの権利を譲渡できることを定めています。その際、旅行者の変更に伴う手続きなどで発生する手数料は旅行者が負担するものとされます。

第三章:契約の解除

旅行者の解除権

第十六条 旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って募集型企画旅行契約を解除することができます。通信契約を解除する場合にあっては、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして取消料の支払いを受けます。
2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
一 当社によって契約内容が変更されたとき。ただし、その変更が別表第二上欄に掲げるものその他の重要なものであるときに限ります。
二 第十四条第一項の規定に基づいて旅行代金が増額されたとき。
三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
四 当社が旅行者に対し、第十条第一項の期日までに、確定書面を交付しなかったとき。
五 当社の責に帰すべき事由により、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の実施が不可能となったとき。
3 旅行者は、旅行開始後において、当該旅行者の責に帰すべき事由によらず契約書面に記載した旅行サービスを受領することができなくなったとき又は当社がその旨を告げたときは、第一項の規定にかかわらず、取消料を支払うことなく、旅行サービスの当該受領することができなくなった部分の契約を解除することができます。
4 前項の場合において、当社は、旅行代金のうち旅行サービスの当該受領することができなくなった部分に係る金額を旅行者に払い戻します。ただし、前項の場合が当社の責に帰すべき事由によらない場合においては、当該金額から、当該旅行サービスに対して取消料、違約料その他の既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用に係る金額を差し引いたものを旅行者に払い戻します。

旅行者は取消料を支払うことでいつでもキャンセルできることが定められています。取消料はキャンセルの時期によって異なり、具体的には以下です。

国内旅行の場合

  • 旅行開始日前日の20日前以降:旅行代金の20%以内
  • 旅行開始日前日の7日前以降:旅行代金の30%以内
  • 旅行開始日前日:旅行代金の40%以内
  • 旅行開始日当日:旅行代金の50%以内
  • 旅行開始後・無連絡キャンセル:旅行代金の100%以内

海外旅行の場合

  • ピーク時の旅行で旅行開始日前日の40日前以降:旅行代金の10%以内
  • 旅行開始日前日の30日前以降:旅行代金の20%以内
  • 旅行開始日前々日以降:旅行代金の50%以内
  • 旅行開始後・無連絡キャンセル:旅行代金の100%以内

また、旅行開始前で以下に該当する場合は取消料なしでキャンセルできるとされています。

  • 契約内容が変更されたとき(重要な変更に限る)
  • 旅行代金が第14条1項に基づき増額されたとき
  • 旅行の安全かつ円滑な実施が不可能または不可能になるおそれが大きいとき
  • 旅行業者が期日中に確定書面を交付しなかったとき
  • 旅行業者の故意または過失により契約内容の旅行が実施できないとき

また、旅行開始後に契約内容の旅行を実施できなくなった場合、受領できなくなった部分の契約を取消料を支払うことなく解除できます。ただし、旅行者の責に帰すべき事由によらないことが条件です。

当社の解除権等-旅行開始前の解除

第十七条 当社は、次に掲げる場合において、旅行者に理由を説明して、旅行開始前に募集型企画旅行契約を解除することがあります。
一 旅行者が当社があらかじめ明示した性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないことが判明したとき。
二 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により、当該旅行に耐えられないと認められるとき。
三 旅行者が他の旅行者に迷惑を及ぼし、又は団体旅行の円滑な実施を妨げるおそれがあると認められるとき。
四 旅行者が、契約内容に関し合理的な範囲を超える負担を求めたとき。
五 旅行者の数が契約書面に記載した最少催行人員に達しなかったとき。
六 スキーを目的とする旅行における必要な降雪量等の旅行実施条件であって契約の締結の際に明示したものが成就しないおそれが極めて大きいとき。
七 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
八 通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効になる等、旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき。
九 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。
2 旅行者が第十二条第一項の契約書面に記載する期日までに旅行代金を支払わないときは、当該期日の翌日において旅行者が募集型企画旅行契約を解除したものとします。この場合において、旅行者は、当社に対し、前条第一項に定める取消料に相当する額の違約料を支払わなければなりません。
3 当社は、第一項第五号に掲げる事由により募集型企画旅行契約を解除しようとするときは、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって、国内旅行にあっては十三日目(日帰り旅行については、三日目)に当たる日より前に、海外旅行にあっては二十三日目(別表第一に規定するピーク時に旅行を開始するものについては三十三日目)に当たる日より前に、旅行を中止する旨を旅行者に通知します。

  • 6 –

旅行業者の旅行開始前の契約解除権について定めています。

  • 旅行者が参加条件を満たしていないことが判明したとき
  • 旅行者が病気などの理由で旅行が難しいとき
  • 他の旅行者に対し迷惑行為などを行うおそれがあるとき
  • 特別扱いを求めるなど度を超えた要求をするとき
  • 最少催行人員に達しなかったとき
  • 自然条件が実施の前提となるもので、契約締結時に明示した状況が成就しないおそれが極めて大きいとき
  • 旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき
  • カード決済ができないとき
  • 契約締結の拒否自由に該当することが判明したとき

なお、最初催行人員に達しないことで契約解除する場合は、国内旅行の場合は旅行開始日前日の13日目より前に、海外旅行の場合は旅行開始日前日の23日目(ピーク時の場合33日目)より前に旅行者に通知しなければなりません。

当社の解除権-旅行開始後の解除

第十八条 当社は、次に掲げる場合において、旅行開始後であっても、旅行者に理由を説明して、募集型画旅行契約の一部を解除することがあります。
一 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により旅行の継続に耐えられないとき。
二 旅行者が旅行を安全かつ円滑に実施するための添乗員その他の者による当社の指示への違背、これらの者又は同行する他の旅行者に対する暴行又は脅迫等により団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるとき。
三 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。
四 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合であって、旅行の継続が不可能となったとき。
2 当社が前項の規定に基づいて募集型企画旅行契約を解除したときは、当社と旅行者との間の契約関係は、将来に向かってのみ消滅します。この場合において、旅行者が既に提供を受けた旅行サービスに関する当社の債務については、有効な弁済がなされたものとします。
3 前項の場合において、当社は、旅行代金のうち旅行者がいまだその提供を受けていない旅行サービスに係る部分に係る金額から、当該旅行サービスに対して取消料、違約料その他の既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用に係る金額を差し引いたものを旅行者に払い戻します。

旅行業者の旅行開始後の解除権について定めています。

  • 旅行者が病気などの理由で旅行の継続が難しいとき
  • 添乗員の指示に従わないなど、旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるとき
  • 旅行者が契約締結拒否自由に該当することが判明した時
  • 旅行業社の関与しえない事由により旅行の継続が不可能になったとき

なお、この規定により契約が解除された場合、契約関係は将来に向かってのみ消滅し、既に提供した旅行サービスについては有効な弁済とされます。提供を受けていない旅行サービスについては、もろもろの必要料金を精算した上で払い戻しをします。

旅行代金の払戻し

第十九条 当社は、第十四条第三項から第五項までの規定により旅行代金が減額された場合又は前三条の規定により募集型企画旅行契約が解除された場合において、旅行者に対し払い戻すべき金額が生じたときは、旅行開始前の解除による払戻しにあっては解除の翌日から起算して七日以内に、減額又は旅行開始後の解除による払戻しにあっては契約書面に記載した旅行終了日の翌日から起算して三十日以内に旅行者に対し当該金額を払い戻します。
2 当社は、旅行者と通信契約を締結した場合であって、第十四条第三項から第五項までの規定により旅行代金が減額された場合又は前三条の規定により通信契約が解除された場合において、旅行者に対し払い戻すべき金額が生じたときは、提携会社のカード会員規約に従って、旅行者に対し当該金額を払い戻します。この場合において、当社は、旅行開始前の解除による払戻しにあっては解除の翌日から起算して七日以内に、減額又は旅行開始後の解除による払戻しにあっては契約書面に記載した旅行終了日の翌日から起算して三十日以内に旅行者に対し払い戻すべき額を通知するものとし、旅行者に当該通知を行った日をカード利用日とします。
3 前二項の規定は第二十七条又は第三十条第一項に規定するところにより旅行者又は当社が損害賠償請求権を行使することを妨げるものではありません。

旅行者に払戻しをする必要が生じた際には、旅行開始前の契約解除の場合は解除の翌日から7日以内に、減額・旅行開始後の解除の場合は旅行終了日の翌日から30日以内に払戻しを行います。

なお、この規定は旅行者又は旅行業者の法的責任の存在について関与するものではないため、損害賠償請求権の行使を妨げるものではありません。

契約解除後の帰路手配

第二十条 当社は、第十八条第一項第一号又は第四号の規定によって旅行開始後に募集型企画旅行契約を解除したときは、旅行者の求めに応じて、旅行者が当該旅行の出発地に戻るために必要な旅行サービスの手配を引き受けます。
2 前項の場合において、出発地に戻るための旅行に要する一切の費用は、旅行者の負担とします。

旅行開始後に契約解除に至った場合、旅行者が希望した際には帰路の移動手段の手配を行います。この費用は旅行者負担です。

第五章:団体・グループ契約

団体・グループ契約

第二十一条 当社は、同じ行程を同時に旅行する複数の旅行者がその責任ある代表者(以下「契約責任者」といいます。)を定めて申し込んだ募集型企画旅行契約の締結については、本章の規定を適用します。

団体・グループ旅行についての適用範囲を定めています。「複数」とある通り、2人であっても適用されます。

契約責任者

第二十二条 当社は、特約を結んだ場合を除き、契約責任者はその団体・グループを構成する旅行者(以下「構成者」といいます。)の募集型企画旅行契約の締結に関する一切の代理権を有しているものとみなし、当該団体・グループに係る旅行業務に関する取引は、当該契約責任者との間で行います。
2 契約責任者は、当社が定める日までに、構成者の名簿を当社に提出しなければなりません。
3 当社は、契約責任者が構成者に対して現に負い、又は将来負うことが予測される債務又は義務については、何らの責任を負うものではありません。
4 当社は、契約責任者が団体・グループに同行しない場合、旅行開始後においては、あらかじめ契約責任者が選任した構成者を契約責任者とみなします。

契約責任者について定めており、やり取りなどは契約責任者が代表して行うことを示しています。

第六章:旅程管理

旅程管理

第二十三条 当社は、旅行者の安全かつ円滑な旅行の実施を確保することに努力し、旅行者に対し次に掲げる業務を行います。ただし、当社が旅行者とこれと異なる特約を結んだ場合には、この限りではありません。
一 旅行者が旅行中旅行サービスを受けることができないおそれがあると認められるときは、募集型企画旅行契約に従った旅行サービスの提供を確実に受けられるために必要な措置を講ずること。
二 前号の措置を講じたにもかかわらず、契約内容を変更せざるを得ないときは、代替サービスの手配を行うこと。この際、旅行日程を変更するときは、変更後の旅行日程が当初の旅行日程の趣旨にかなうものとなるよう努めること、また、旅行サービスの内容を変更するときは、変更後の旅行サービスが当初の旅行サービスと同様のものとなるよう努めること等、契約内容の変更を最小限にとどめるよう努力すること。

旅行業社が行う旅程管理業務について定めています。

あらかじめ手配していた旅行サービスは様々な自由により当初の予定通りの提供が叶わなくなる可能性がありますが、旅行業者は契約内容通りの旅行サービスを提供できるよう、対応します。また、その提供ができないときは、代替サービスを手配して契約内容の変更を最小限にとどめるようにしなければなりません。

当社の指示

第二十四条 旅行者は、旅行開始後旅行終了までの間において、団体で行動するときは、旅行を安全かつ円滑に実施するための当社の指示に従わなければなりません。

添乗員等の業務

第二十五条 当社は、旅行の内容により添乗員その他の者を同行させて第二十三条各号に掲げる業務その他当該募集型企画旅行に付随して当社が必要と認める業務の全部又は一部を行わせることがあります。
2 前項の添乗員その他の者が同項の業務に従事する時間帯は、原則として八時から二十時までとします。

添乗員の同行とその原則の勤務時間について定めています。

保護措置

第二十六条 当社は、旅行中の旅行者が、疾病、傷害等により保護を要する状態にあると認めたときは、必要な措置を講ずることがあります。この場合において、これが当社の責に帰すべき事由によるものでないときは、当該措置に要した費用は旅行者の負担とし、旅行者は当該費用を当社が指定する期日までに当社の指定する方法で支払わなければなりません。

旅行者への保護措置の義務と、旅行者の費用負担について定めています。

第七章:責任

当社の責任

第二十七条 当社は、募集型企画旅行契約の履行に当たって、当社又は当社が第四条の規定に基づいて手配を代行させた者(以下「手配代行者」といいます。)が故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、その損害を賠償する責に任じます。ただし、損害発生の翌日から起算して二年以内に当社に対して通知があったときに限ります。
2 旅行者が天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社又は当社の手配代行者の関与し得ない事由により損害を被ったときは、当社は、前項の場合を除き、その損害を賠償する責任を負うものではありません。
3 当社は、手荷物について生じた第一項の損害については、同項の規定にかかわらず、損害発生の翌日から起算して、国内旅行にあっては十四日以内に、海外旅行にあっては二十一日以内に当社に対して通知があったときに限り、旅行者一名につき十五万円を限度(当社に故意又は重大な過失がある場合を除きます。)として賠償します。

旅行業社が負う損害賠償責任について規定しています。旅行業社又は手配代行者が、故意又は過失により旅行者に損害を与えた場合はその責を負いますが、損害発生日から二年以内に通知が必要です。

手荷物の損害については、損害発生の翌日から、国内旅行であれば14日以内、海外旅行であれば21日以内に通知があれば、旅行者1名につき15万円まで賠償します。

特別補償

第二十八条 当社は、前条第一項の規定に基づく当社の責任が生ずるか否かを問わず、別紙特別補償規程で定めるところにより、旅行者が募集型企画旅行参加中にその生命、身体又は手荷物の上に被った一定の損害について、あらかじめ定める額の補償金及び見舞金を支払います。
2 前項の損害について当社が前条第一項の規定に基づく責任を負うときは、その責任に基づいて支払うべき損害賠償金の額の限度において、当社が支払うべき前項の補償金は、当該損害賠償金とみなします。
3 前項に規定する場合において、第一項の規定に基づく当社の補償金支払義務は、当社が前条第一項の規定に基づいて支払うべき損害賠償金(前項の規定により損害賠償金とみなされる補償金を含みます。)に相当する額だけ縮減するものとします。
4 当社の募集型企画旅行参加中の旅行者を対象として、別途の旅行代金を収受して当社が実施する募集型企画旅行については、主たる募集型企画旅行契約の内容の一部として取り扱います。

旅行者が生命、身体又は手荷物に被った損害について、特別補償規程に基づきその責任を負うことを定めています。この際の補償金について、その発生原因や性質により損害賠償金との調整を行い、縮減する場合があることが示されています。

旅程保証

第二十九条 当社は、別表第二上欄に掲げる契約内容の重要な変更(次の各号に掲げる変更(運送・宿泊機関等が当該旅行サービスの提供を行っているにもかかわらず、運送・宿泊機関等の座席、部屋その他の諸設備の不足が発生したことによるものを除きます。)を除きます。)が生じた場合は、旅行代金に同表下欄に記載する率を乗じた額以上の変更補償金を旅行終了日の翌日から起算して三十日以内に支払います。ただし、当該変更について当社に第二十七条第一項の規定に基づく責任が発生することが明らかである場合には、この限りではありません。
一 次に掲げる事由による変更
イ 天災地変
ロ 戦乱
ハ 暴動
ニ 官公署の命令
ホ 運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止
ヘ 当初の運行計画によらない運送サービスの提供
ト 旅行参加者の生命又は身体の安全確保のため必要な措置
二 第十六条から第十八条までの規定に基づいて募集型企画旅行契約が解除されたときの当該解除された部分に係る変更
2 当社が支払うべき変更補償金の額は、旅行者一名に対して一募集型企画旅行につき旅行代金に十五%以上の当社が定める率を乗じた額をもって限度とします。また、旅行者一名に対して一募集型企画旅行につき支払うべき変更補償金の額が千円未満であるときは、当社は、変更補償金を支払いません。
3 当社が第一項の規定に基づき変更補償金を支払った後に、当該変更について当社に第二十七条第一項の規定に基づく責任が発生することが明らかになった場合には、旅行者は当該変更に係る変更補償金を当社に返還しなければなりません。この場合、当社は、同項の規定に基づき当社が支払うべき損害賠償金の額と旅行者が返還すべき変更補償金の額とを相殺した残額を支払います。

契約内容に重要な変更が生じた場合の変更補償金の支払いについて定めています。旅行業者は、変更内容ごとに別表第二の率によって計算される変更補償金を、旅行終了日の翌日から30日以内に支払わなければなりません。その限度は旅行代金の15%以上で旅行業者が定めた額とされます。

なお、旅行業者が損害賠償責任を負うこととなった場合には、損害賠償金と調整を行い、先に支払われた変更補償金は相殺されます。

旅行者の責任

第三十条 旅行者の故意又は過失により当社が損害を被ったときは、当該旅行者は、損害を賠償しなければなりません。
2 旅行者は、募集型企画旅行契約を締結するに際しては、当社から提供された情報を活用し、旅行者の権利義務その他の募集型企画旅行契約の内容について理解するよう努めなければなりません。
3 旅行者は、旅行開始後において、契約書面に記載された旅行サービスを円滑に受領するため、万が一契約書面と異なる旅行サービスが提供されたと認識したときは、旅行地において速やかにその旨を当社、当社の手配代行者又は当該旅行サービス提供者に申し出なければなりません。

旅行者が損害賠償責任を負う場合があることを示すとともに、旅行者の責任についても定めています。

第八章:営業保証金(旅行業協会の保証社員でない場合)
第八章:弁済業務保証金(旅行業協会の保証社員である場合)

旅行者に、旅行業法に基づく営業保証金(弁済業務保証金)の弁済を受けるにあたっての情報を示しています。

営業保証金

第三十一条 当社と募集型企画旅行契約を締結した旅行者又は構成者は、その取引によって生じた債権に関し、当社が旅行業法第七条第一項の規定に基づいて供託している営業保証金から弁済を受けることができます。
2 当社が営業保証金を供託している供託所の名称及び所在地は、次のとおりです。
一 名称
二 所在地

弁済業務保証金

第三十一条 当社は、一般社団法人 旅行業協会(東京都 区 町 丁目 番 号)の保証社員になっております。
2 当社と募集型企画旅行契約を締結した旅行者又は構成者は、その取引によって生じた債権に関し、前項の一般社団法人 旅行業協会が供託している弁済業務保証金から 円に達するまで弁済を受けることができます。
3 当社は、旅行業法第四十九条第一項の規定に基づき、一般社団法人 旅行業協会に弁済業務保証金分担金を納付しておりますので、同法第七条第一項に基づく営業保証金は供託しておりません。

川崎行政書士

募集型企画旅行の部は以上です。お疲れ様でした。

セバスチャン

…本当に疲れました。心が折れそうです。

KC行政書士事務所
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