旅行業の登録が必要なのはどんな事業?【旅行業の許認可基礎知識】

セバスチャン

先日友達と飲みに行ったら、旅行関係のビジネスを起業したいと言っていました。旅行関係の事業って、何か許認可は必要なんですか?

川崎行政書士

旅行関連の事業を始める際にまず検討するのは「旅行業の登録」です。そのお友達がどんな事業を始めようとするかによって、登録が必要かどうかは変わります。

観光やレジャー系の事業を始める際、その業態によって必要となる許認可は様々です。

旅行会社や旅行代理店に代表される旅行業を営む場合、旅行業法に定める旅行業の登録をしなければなりません。しかし、このような代表的な事業でなくても、事業の態様によっては旅行業を登録が必要になるかもしれません。

川崎行政書士

旅行業」とは具体的に一体どんな事業を指すのか、どんなことを事業として行う際に旅行業の登録が必要になるのかを見ていきましょう。

根拠法令:旅行業法

目次

旅行業とは

旅行業はホテルや交通機関を手配してパッケージツアーなどを販売する、いわゆる旅行会社旅行代理店がその代表例です。みなさんも一度は商業施設や駅ビルに入っている旅行パンフレットなんかを手に取っり、インターネットでパッケージツアーを検索したことがあると思いますが、これらの会社が「旅行業の登録」を受けている事業者です。逆に言うと、旅行業の登録を受けた事業者でなければこうした商品を販売することはできません。

セバスチャン

ちょうどこの間、ネットでセブ島ツアーを検索していたところでした。あれって誰でも販売していいわけじゃないんですね。

川崎行政書士

パッケージツアーは旅行者の安全に直接関わる商品ですし、取り扱う商品が高額になる場合もあるため、消費者を保護するためにも法律によって登録制とされているのです。では、法律的な定義と範囲を見てみましょう。

法律的な定義

旅行業の登録については、旅行業法という法律で定められています。旅行業法は旅行者の安全や利便の増進といったことを目的として、旅行業の登録制度を実施し旅行業者の適正な運営を確保するために制定された法律です。

そんな旅行業法では、旅行業務を以下のように定義しています。

第二条 この法律で「旅行業」とは、報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送サービスの提供について、代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
一 旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービス(以下「運送等サービス」という。)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
二 前号に掲げる行為に付随して、運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下「運送等関連サービス」という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為
三 旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
四 運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為
五 他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して、旅行者に対して運送等サービスを提供する行為
六 前三号に掲げる行為に付随して、旅行者のため、運送等関連サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
七 第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、運送等関連サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等関連サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為
八 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、旅行者の案内、旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為
九 旅行に関する相談に応ずる行為

旅行業法第2条より
セバスチャン

こんな小難しい文章羅列されても読む気になんないよ!!

川崎行政書士

色々書かれてますが、大事なことは3つです。「旅行業」に該当するかは、「報酬を得て」「事業として(反復継続して)」「一定の行為(旅行業務)を行う」ことということです。

セバスチャン

…一定の行為って、つまりどんな行為のことですか?

一定の行為とは何を指すのでしょうか。法律の条文を見ると(一)~(九)に列挙されていますが、おおむね基本的旅行業務付随的旅行業務相談業務の3つに集約されるのです。(参考:観光庁「旅行業の定義」

①基本的旅行業務

〇運送・宿泊のサービス提供契約を締結すること
 →要するにパッケージツアーなどを販売することです

〇運送・宿泊のサービスに関して、代理・媒介・取次をすること
 →例えば航空券の販売旅館やホテルの紹介貸し切りバスを利用したツアーの販売を行うことです

②付随的旅行業務

基本的旅行業務に付随してレストランや観光施設の旅行サービス提供契約を締結すること
 →要するにパッケージツアーにテーマパークの入場チケットをくっつけたり、ホテルの予約の媒介ついでに飲食店も手配することなどです。

基本的旅行業務に付随して渡航手続き(旅券・査証取得)の代行、添乗業務を行うこと

③相談業務

旅行日程の作成、旅行費用の見積もり等の旅行の相談に応じる行為

旅行業に該当しない行為

以下のような行為は旅行業に該当しないため、旅行業の登録は不要です。

運送機関の代理行為のみ(切符や乗船券の販売のみを行う販売所、航空運送の代理店)

旅行者と直接取引しない場合(添乗員派遣会社、ランドオペレーター)

運送・宿泊以外のサービスのみを手配する場合(遊園地やイベント・スポーツ観戦など入場券のみを販売するプレイガイド、レストランの手配のみ行うなど)

運送事業者・宿泊事業者が自らの事業として行う場合(バス会社の行う日帰りツアー、旅館の行うゴルフパック)
→例えばバス会社が他者の経営する旅館の宿泊を手配した場合は旅行業に該当します。

セバスチャン

なるほど!つまり、パッケージツアーの販売のようなわかりやすいもの以外は、販売や提供の形態によって旅行業に該当するか否かは個別に検討する必要がありそうですね。

川崎行政書士

その通りです!セバスチャンのお友達はどんな旅行ビジネスを考えているんですか?

セバスチャン

…忘れました。

川崎行政書士

…KC行政書士事務所では、「こんな事業を始めたいんだけど、旅行業の登録は必要なの?」「ほかに何か許認可は必要?」というご相談も承っております。LINEやオンラインでの無料相談を実施しておりますので、ぜひご活用ください!申請が必要な際も、丁寧にサポートさせていただきます。

KC行政書士事務所
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