レンタカーを営業するために必要な許認可は?

セバスチャン

いつか旅館を開業してみたいんですが、お客さんに車を貸したら便利じゃないかって思ってるんです。レンタカーの営業に許可って必要ですか?

川崎行政書士

車を有償で貸し出す営業、いわゆるレンタカー事業には道路運送法に基づく許可が必要です。

車を貸すという一見許可の必要なさそうな事業にも思えますが、自動車の適切な整備は利用客の安全に直結しますから、レンタカー事業は許可制となっており、許可を受けるためにいくつかの基準を満たすことも必要です。

川崎行政書士

では、レンタカー事業を始めるための許可基準と手続きの概要を見ていきましょう。

目次

レンタカー事業の許可が必要な行為とは

レンタカー事業は正式には道路運送法に基づく自家用自動車有償貸渡業と呼ばれ、営業するためには許可を取得しなければなりません。

第八十条 自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。

道路運送法第80条より

車を有償で貸し出す行為を業として(反復継続して)行う場合に必要な許可ですから、台数は関係なく、1台でも許可は取得しなければなりません。

また、法人だけでなく個人でも取得が可能です。言い換えると、個人でもレンタカー事業を営む場合は許可を受けなければなりません。

貸し出す車種は以下の通り分類されます。

  • 自家用乗用車
  • 自家用マイクロバス(乗車定員11人~29人かつ車両長が7m以下の車両)
  • 自家用トラック
  • 特種用途自動車
  • 二輪車

なお、自家用マイクロバスを貸し出す場合は他の車に追加の条件が付されます。

許可基準

主な許可の要件は①欠格要件に該当しないこと適切な保険に加入することの2点です。

欠格要件

申請者及びその役員が、以下の欠格要件に該当しないことが条件です。

  • 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき。
  • 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき。
  • 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。
  • 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。
  • 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前記4点のいずれかに該当する者であるとき。
  • 法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が前記5点のいずれかに該当する者であるとき。
  • 申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けているものではないこと。
川崎行政書士

まとめると申請者やその役員が直近2年以内に何らかの刑罰や道路運送法関係の行政処分を受けていないことが1つ大きなポイントと言えます。

適切な保険への加入

事故を起こした場合に備えて、十分な補償が担保できる自動車保険に加入する必要があります。

具体的には、

  • ア 対人保険 1人当り 8,000万円以上
  • イ 対物保険 1件当り 200万円以上
  • ウ 搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含む。)搭乗者1人当り 500万円以上

であることが求められます。

その他の対応事項

許可基準を満たすほか、申請にあたっては営業所(+車庫)と整備管理者について準備しておく必要があります

整備管理者の選任について

車種ごとに一定の台数を超える場合には、整備管理者の選任が必要です。(台数は1営業所ごと)

  • バス(乗車定員11人以上の自動車):1台以上
  • 大型トラック等(車両総重量8トン以上):5台以上
  • その他の自動車:10台以上

整備管理者は誰でもなれるわけではなく、条件があります。以下のいずれかに該当することが必要です。

  • 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
  • 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること

なお、レンタカー事業(自家用自動車有償貸渡業)においては整備管理者の外部委託が可能なので、必ずしも自社内に置く必要はありません。

申請時に必要な書類

申請時には以下の書類を管轄の運輸支局へ提出します。

  • 貸渡料金及び貸渡約款を記載した書類
  • 会社登記簿謄本(個人の場合住民票、新法人の場合発起人名簿)
  • 欠格事由に該当しない旨の宣誓書
  • 事務所別車種別配置車両数一覧表
  • 貸渡しの実施計画
    • 自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画
    • 自動車運送事業類似行為の防止を図るための貸渡しの実施方法
    • その他貸渡しの適正化を図るための計画(保険の加入状況・整備管理者の配置計画など)

書類を提出すると審査が行われ、要件に合致していることが確認されると許可が下ります。許可時には登録免許税として9万円の納付が必要となります。

セバスチャン

なるほど、個人が1台貸すだけでも、それが営業にあたる場合は許可が必要なんですね!

川崎行政書士

その通りです。本来許可が必要にもかかわらず無許可で営業した場合には、100万円以下の罰金の処分が規定されていますので、気を付けましょう。

KC行政書士事務所
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