ホテルや旅館が営業できない地域は?用途地域との関連性を解説!

セバスチャン僕のおもてなし力を発揮するためにホテルの求人を探しているのですが、家の周りにホテルがないんです。ホテルが営業できない地域ってあるのですか?



ホテルや旅館の営業できる地域は限られており、どこでも営業できるわけではありません。特に住宅街などは開業が不可な場合が多いです。
ホテルや旅館業などの宿泊施設は、通常は旅館業許可を取得して営業を行います。旅館業の許可取得は、都市計画法という法律に密接に関係しており、その地域が定めている都市計画によって、宿泊施設が営業できる地域・できない地域が区分されています。
旅館業は数ある事業の中でも、複数の法規制が絡むため許認可の取得が複雑になるとことが多いです。特に不動産関係の法規制は調査が必須ですが、その基本になるのが都市計画区域と用途地域です。



ホテル・旅館が営業できない地域について詳しく見ていきましょう。
都市計画法とは
都市計画法とは、簡単に言うと街を健全に発展させて住民の秩序ある生活を守るための法律です。
例えば閑静な住宅街で暮らしたいと思って家を買ったのに、その5年後に隣に人の出入りが激しいホテルが建設されたら誰でも憤りを覚えると思いますが、この地域には住宅しか建てちゃだめですよ、という風にエリアごとに建ててよい建築物をあらかじめ決めておくことで、そういったトラブルが起きないようにするのが用途地域です。
用途地域には全部で13種類あり、それぞれに建築していい建物・建築してはいけない建物が規定されています。
都道府県や市区町村によって、日本の土地は市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域・都市計画区域外の5つのいずれかに区分されていますが、この中でも市街化区域については用途地域が必ず定められます。
| 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅の良好な住環境を保護する地域。建物の高さや用途に厳しい制限がある |
|---|---|
| 第二種低層住居専用地域 | 第一種低層に比べ、学習塾や日用品販売店など小規模店舗の建築が可能 |
| 第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅を主とした地域。病院や大学、店舗は規模に応じて制限される |
| 第二種中高層住居専用地域 | 第一種中高層よりも、より大きな店舗や事務所の併設が可能 |
| 第一種住居地域 | 住居を主とするが、一定規模までの店舗・事務所・ホテル等が建築可能 |
| 第二種住居地域 | 商業機能を伴う住居地域。カラオケボックスなどの娯楽施設も建築可能 |
| 田園住居地域 | 農地と調和した低層住宅地域。農産物の直売所などの農業関連施設が建築可能 |
| 準住居地域 | 道路沿いの住居と業務・商業が混在する地域。自動車関連施設なども許容 |
| 近隣商業地域 | 日用品販売店舗が中心の商業地域。住宅や小規模工場も混在が可能 |
| 商業地域 | 商業・業務の中心となる地域。百貨店・オフィスビル・マンションなどが立地 |
| 準工業地域 | 工場と住居が混在可能な地域。軽工業やサービス業が中心 |
| 工業地域 | 一般工場の立地を許容する地域。住宅も建築可能だが環境規制は緩め |
| 工業専用地域 | 工業に特化した地域。住宅・店舗・学校などは建築不可 |
住居専用地域や工業系の地域ではホテルは営業不可
つまり、自治体によって指定された用途地域によって、ホテル・旅館用途の建物を建築していいか(=営業できるか)が決まっているのです。用途地域ごとの建築可否は以下の通りです。


低層住居専用地域や中高層住居専用地域、田園住居地域ではホテルは営業できません。また、工業地域・工業専用地域でも営業できません。
営業できるのは、第一種住居地域(3,000㎡以下に限る)、第二種住居地域、準住居地域、商業系地域と準工業地域です。
飲食店や物販店、その他のオフィスなど、ある程度都市機能が整っている地域では営業でき、住宅地では営業できない、というのが大まかなイメージになります。
市街化調整区域でのホテル営業は?
以上は用途地域の定められる市街化区域でのホテル営業可否です。用途地域が定められていれば営業できるかできないかは一目でわかります。ここでよくご質問をいただくのが、市街化調整区域でのホテル営業です。結論から言いますと市街化調整区域でのホテル営業は難しいです。
市街化調整区域については用途地域は基本的に定められません。市街化調整区域は文字通り市街化を抑制するためのエリアであり、建物の建築が厳しく制限されているからです。
しかし、市街化調整区域でも建築物は多く建てられていますし、営業している宿泊施設もあります。それは市街化調整区域での旅館業営業自体は禁止されていないからです。つまり、適法に建物を建てることができればホテル営業も可能ということです。
ただし、市街化調整区域で建築行為を行うためには、都市計画法に定める開発許可(または建築許可)の取得が必要になり、この許可の取得には様々な要件をクリアする必要があります。この取得が一筋縄ではいかないことが難しい理由の1つです。
では、既に建っている建物を転用すれば良いかというと、それも簡単ではありません。市街化調整区域に建っている建築物は開発許可(または建築許可)を取得して建っているわけですが、許可取得時の用途に限って建築が許可されているため、別の用途に変更するのは認められないケースが多いのです。
また、既存建築物の中には都市計画法の制定以前に建てられた建物も存在します。これらの建物の建築時にはそもそも市街化調整区域の運用云々はなかったわけですから、開発許可等の適用も建築時点ではありませんでした。ただし、こうした建物は現行の建築基準法に沿わない場合が多く、そのためにホテルとして開業する採算が合わない、というのが現実です。



な、なるほど…地方とか行って誰もつかってなさそうな建物を見かけるとホテルにしたらいいのに、って思ってましたがそんな簡単な話じゃないんですね。



その通りです。特に市街化調整区域の既存建築物の事業用途への転用は、事前調査が重要です。










