中小企業新事業進出補助金は宿泊業や旅行業・飲食店でも使える?

2025年11月10日より、第2回中小企業新事業進出補助金の申請受付が開始しました。
中小企業新事業進出補助金(以下本補助金)は他の補助金に比べると補助金額の上限額が高めなことが事業者にとってメリットです。一方、補助金の対象となる経費には厳格な規定があり、申請の要件も多くハードルの高い補助金の1つと言われます。
川崎行政書士本補助金が旅行業や宿泊業・飲食店など、観光業界の事業でも使えるのか?どのような事業と相性がいいのかなどを解説していきます。
補助金の基本知識
「補助金」と聞くと誰でも受給できるとか、補助金額の枠内で自由に使用していいと思う方もいらっしゃいますが、補助金には厳しいルールが定められており、実際には様々な制約を受けます。そこで、まずは補助金についてよくある3つの誤解を紹介します。
対象者は限られている
補助金は誰でも申請できるわけではなく、補助金ごとに対象となる事業者が設定されています。また、申請の条件を満たしていなければならないので、まず自社がそもそも補助金の対象となりうるかを確認する必要があります。
なお、要件を満たした上で申請すれば必ず補助金を貰えるというわけでもありません。審査を受け、採択されて初めて補助金をもらう権利を得ます。
補助金の用途は決まっている
補助金ごとに補助金の対象とできる費用の種類は決まっており、なんでも補助金の対象経費となるわけではありません。1,000万円の補助金を受けたとしても、1,000万円貰ってそれを何にでも好き勝手に使っていいというわけではなく、申請時点でこれだけのお金がこの内訳でかかるから、1,000万円の補助金を受けたいです、という計画を添付して審査が通れば採択となり、採択後はこの計画に従って経費を使用していきます。
特に中小企業新事業進出補助金は厳格に対象経費が定められています。申請しようと思ったけど経費内訳を作成すると意外と対象にできる経費がなく、補助金の対象金額が少なかった…ということもあるので、対象経費の確認は重要です。
後払いになるため立替えが必要になる
補助金は基本的に後払いになります。例えば宿泊施設の開業で補助金に採択された場合、補助金が支給されるのは開業後です。
補助金額が大きい場合、一時的に多額の立替えが発生するので、金融機関との連携も必要になります。
補助金の対象者
中小企業新事業進出補助金の対象者は、基本的には業種ごとに資本金と常勤従業者数について上限が設けられており、以下の数値以下であることが必要です。


なお、個人事業主でも申請可能です。
また、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外です。
補助金の要件
本補助金には主に以下の6つの要件が設定されています。
新事業進出要件
その事業者にとって、申請対象の事業における製品またはサービスが新規性を有し、事業開始後に売上高について一定の割合を有する見込みがある計画が必要です。
付加価値額要件
付加価値額の年平均成長率が4%以上増加する事業計画が必要です。付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費を足したものです。
賃上げ要件
事業開始後3年~5年にかけて、従業員の給与について、一定水準以上増額させていく必要があります。なお、賃上げ要件については目標値未達の場合には補助金返還義務があります。
事業場内最賃水準要件
事業開始後3年~5年にかけて、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準を維持していく必要があります。なお、事業場内最賃水準要件についても目標値未達の場合には補助金返還義務があります。
ワークライフバランス要件
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していることが必要です。一般事業主行動計画とは、従業員の「仕事と子育ての両立」や「女性活躍推進」などのために策定する計画のことですが、公表には一定の期間が必要なため、未対応の事業者は計画的に準備しなければなりません。
金融機関要件
補助事業の実施にあたって金融機関から資金提供を受ける場合は、金融機関から事業計画の確認を受けることが必要です。したがって、事前に金融機関への相談もしておかなければなりません。
どんな事業と相性がいい?宿泊業や旅行業・飲食店でも使える?
では、本補助金の基本的な情報を見てきたところで、肝心のどんな事業で使えるのかについて解説していきたいと思います。
まず、業種で制限が設けられているわけではありませんので、基本的にどのような業種の方でも利用が可能です。しかしながら大前提として、これから始めようとしている事業がその事業者にとって新規性を有することが必要です。
この点については事業計画書においてきちんと説明しなければなりませんが、基本的にいわゆる「新規事業」として開始するのであればこの要件は満たせるものと考えられます。例えば旅行会社が新たに宿泊業を開始する、あるいは宿泊事業者が飲食店を開業するといった場合は対象となるでしょう。
次に、大事なのは対象経費です。対象経費には、機械装置・システム構築費又は建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければならないとされています。よって、これらの費用の支出が見込まれない事業では申請できません。
もしもこれらの業種で申請しようとした場合、機械装置・システム構築費には、予約システムや自動チェックインの導入などが対象にできると考えられます。建物費は建物の新築や改築などの建設費用のことで、事務所の家賃や不動産の単なる購入は対象とはなりません。なお、車両の購入や、事務所備品(パソコンやコピー機)の購入やリース費用なども対象とはなりません。また、旅行業を開始する際の供託金も当然のことながら対象になりません。
したがって、建物の建設やリフォームなどを伴う宿泊業・飲食業に新規参入する場合は相性がいいと言えます。一方、旅行業の場合は、対象とできる経費があまり発生しない可能性が高いです(事業計画次第ですが)。
なお、補助金額は下限が750万円となっており、補助率1/2のため最低でも1,500万円の投資計画が必要です。したがって飲食店もそこまでの投資金額が見込まれない場合は申請できません。



申請の検討にあたっては新事業進出補助金のHPもご覧ください。


