新しい事業を始める際、まず気になるのは収益性だと思います。投資をするにあたってもどれくらいの期間で投資回収できるのかの目途が立たなければ、何にどれくらい費用をかけていいものか見当もつきませんよね。
特にキャンプ場の開業においては、土地の準備・必要に応じて建物の建築など、不動産の取得からスタートするため、投資費用がかさみます。他の宿泊業態に比べてれば比較的投資費用は抑えめとは言われますが、数百万円~数千万千は見込む必要があります。
そこで本記事では、キャンプ場を経営する際にどれくらいの収入と支出がかかると予想されるかをシミュレーションしてみました。開業を検討されている方の参考になると幸いです。
キャンプ場の形態にはグランピングやコテージなど色々ありますが、今回は純粋に野営のオートキャンプ場を前提としてシミュレーションします。
野営オートキャンプ場の収益シミュレーション
早速収益シミュレーションの一覧表を見てみましょう。

収入の合計が約1,200万円、支出の合計が約1,150万円、利益が50万円という計算になりました。
ここからは詳しく算出根拠を解説していきます。
※減価償却費や固定資産税などは見込んでません。
販売単価と稼働率の設定
まずは売上を計算するために、キャンプ場の販売単価と稼働率を設定します。
販売単価
観光庁の観光統計・白書より、キャンプ場の宿泊費単価は以下のように推移しています。
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2018年~2024年の1人1回あたりのキャンプ場宿泊費の平均は10,047円です。こう聞くと「思ったより単価が高い」と感じると思います。グラフの推移を見てみると、2019年頃まで5,000円~10,000円で推移していたのが、2019年以降10,000円~15,000円で推移しており、ちょうどグランピングが流行したタイミングから消費単価が上がっているのがわかります。
つまり、グランピングを始めとしたいわゆる高規格キャンプ場によって平均価格が吊り上げられていると考えられ、純粋な野営オートキャンプ場に限るとこの金額よりも下がるでしょう。そこで今回は仮にグループあたりの単価(つまり1サイトあたりの販売単価)を閑散期12,000円、繁忙期25,000円の2段階に設定することにします。
稼働率
「稼働率(かどうりつ)」とは、施設や設備が、ある期間中にどれだけ利用されたかを示す指標のことです。キャンプ場においては通常、サイト(区画)の稼働状況を把握するのに使います。
キャンプ場の稼働率は業界平均で10%~20%程度と言われています。そこで今回は季節によって繁忙期・閑散期を考慮しつつ、年間で15%の稼働率を目標として設定することにします。
運営費の項目
次にキャンプ場の運営にかかる費用を考えていきます。人件費・ごみ処分費・消耗備品代・予約サイト手数料・HPサーバー代・通信費・水道光熱費・施設管理費・保険料などが考えられます。
人件費
運営費で最も高額になるのは人件費です。
基本的にアルバイト3名程度・時給1,200円程度で回すものとします。
ごみ処分費
事業用で排出されたごみは一般ごみに出せず、業者に回収を依頼します。
利用者にごみの持ち帰りを呼びかけるなどで費用の圧縮が可能と考えられます。
消耗備品代
洗剤やトイレットペーパー、その他施設内の備品など、細々した消耗品と備品に係る費用も見ておく必要があります。
予約サイト手数料
一般的に宿泊系のポータルサイト(じゃらんや楽天トラベルなど)の利用料は予約ごとの成果報酬となっており、予約金額の10%前後となることが多いです。
キャンプ場のポータルサイトで有名なのはなっぷです。
HPサーバー代
集客用にHPを解説しておくと広報宣伝に有効です。
キャンプ場の施設サイト程度であれば年間の費用は1万円前後で済みます。
通信費
施設で利用するインターネット料金や電話代などです。
水道光熱費
上水道・下水道・電気・ガスの利用にかかる料金で、季節や利用者の使用方法によって増減が発生し、コントロール(予想)しにくい費用です。
下水道が整備されておらず浄化槽を利用する場合は、別途清掃費や点検料で年間10万円ほどかかります。
施設管理費
トイレや設備のメンテナンスや修繕に係る費用です。
キャンプ場の場合、特に植栽の管理に予想以上の人的リソースがかかる場合があります。草刈りや樹木選定を外注すると、それなりの費用がかかることになります。
保険料
万が一の場合に備えての保険に加入した場合です。
補償内容によって保険料は変動しますが、賠償責任補償などをつけると高くなります。
キャンプ場経営は意外と儲か…らない?
以上、収益シミュレーションの紹介でした。
年間の利益が50万円と聞くと儲からない商売だなと思うかもしれません。もちろん今回のシミュレーションはあくまで一例であり、稼働率を上げる、単価を上げる、費用を抑えるなどで数値として改善する余地はいくらでもあります。
特に稼働率については15%と、宿泊業界から見ると低めに設定しているため、伸びしろで考えると十分可能性のある業態と言えると思います。
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