キャンプ場の「住所」はどうする?住居表示制度について

レジャー観光と運営管理

山林などにキャンプ場を新規に開業したとき、住所に関する手続きは必要なのでしょうか。

お客さんの来場や郵便物、宅配便の配送など、日常生活でなくてはならない住所。元々建築物がある土地ならば悩むことはありませんが、何も建物が建っていない土地の場合、一体どうすればいいのか疑問を持つことと思います。

そこでこの記事では、そもそも「住所」とは何か、設定するにはどんな手続きが必要なのかなどを解説します。

根拠法令:住居表示に関する法律

そもそも「住所」とは?

私たちが普段何気なく口にする住所ですが、これは「住居表示に関する法律」という法律に基づいて設定されているもので、実は日本のすべての土地に当然存在するものではありません

土地は「」と呼ばれる単位で区分けされており、1つひとつの土地には「地番」と呼ばれる、登記制度上の番号が割り振られます。このおかげでどの土地がなんという名前で誰の所有物なのか、管理がしやすくなり、不動産取引上はこの「地番」でやりとりします。

こんな感じで「筆」に区画分けされ、地番が割り振られています

つまり、そもそもすべての土地は「地番」という個々の番号を持っているので、制度的には地番=住所と考えられそうです。しかし、そうではありません。

土地は最初に区分けされた範囲から、様々な都合によって、その範囲を更に分けたり、あるいは合体させたりということを繰り返しています。この結果、地番表示が複雑化し、郵便の配達や行政手続きなどに支障をきたすようになりました。そこで登場したのが「住居表示制度」であり、一般的に「住所」と呼ばれるものはこの住居表示制度によって設定されたものです。

登記上の割り振り番号とは別に、各建物に「住居表示」を割り振ることで、郵便など日常生活的な利便性を向上させる、その役割を担うのが「住所」なのです。

「住所」を設定するには?

以上のように、住所はどんな場所でも必ずしもあるわけではありません。

住居表示制度は地番が複雑化しやすい市街地を中心に設定されています。また、そもそも住居表示は建物の存在を前提としているため、何も建っていない土地には住居表示はありません。そこで住居表示の代わりに住所として使用されるのが「地番」です。

もし山の土地を開拓してキャンプ場を作る場合には、まずは「地番」を住所として活用することを検討します。しかし、ガチの山になってしまうとそもそもその土地がどこに所在しているのか一見ではわからないという事態が発生し、住所の設定の必要性がでてきます。

では、新しく開業するキャンプ場に住居表示を設定したい場合どのような手続きが必要なのでしょうか。自治体によってその運用状況や手順は異なるため、市民課などに確認する必要がありますが、建築物がある場合は新築届などと共に提出することが多いようです。

つまり、管理棟などの建築物を建てる場合にはその段階で住居表示の必要性を検討し、必要に応じて届け出る、という流れになるのが通常の流れと思われます。しかし、中には住居表示制度自体を実施していない自治体もあります(例:千葉県市原市)。

「地番」でも大丈夫か

よって、キャンプ場に住所を設定する場合は、住居表示の必要性はあるか、キャンプ場に何を備えるか、住居表示の届出要件は満たすか、などといった個々の事例に応じて検討をすることになります。

場合によっては前述したように地番を住所として運営をしていくことになりますが、いったんキャンプ場として開業してしまえば、(よほど隠れ家的な場所でない限り)そこまで大きな支障は出てこないと思います。

営業を開始すればある程度人が出入りできる状態となり、キャンプ場として客観的に明確な場所ができるわけです。地番があればおおよその場所までは特定できますから、郵便物や荷物は問題なく配達できるようになっていくでしょう。またGoogleビジネスプロフィールを登録すればGoogle mapに表示されますから、お客様の来場案内も可能になります。

よって、キャンプ場の場合、特に手続きなどを要せず、地番を「住所」として使用するのも選択肢として十分ありえます。

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