2025年上半期・宿泊業は好調?宿泊者数や稼働率から見る宿泊施設の概況


先日、この夏は暑すぎて、稼働率が前年割れしたという宿泊施設のニュースを見ました。



今年の夏は本当に暑かったですね。酷暑もさることながら、今夏は大阪万博が開催されていたため、関西地方に旅行客が集中したことによる観光客の偏りが、宿泊施設の稼働率に影響をもたらしたという見方もあるようです。
2025年は大阪万博の開催や沖縄のジャングリアの開業など、観光業界では要注目のニュースが続いています。東京では昨年にも増して外国人旅行客が増えているように感じます。
こうした観光客を受け入れる宿泊業は好調のように思えますが、現状はどうなのでしょうか。2025年上半期の宿泊業界の動向を、統計データをもとに見ていきたいと思います。
2025年6月、延べ宿泊者数の前年同期比がマイナスに
コロナ禍を経て、観光業界は着実に活気を取り戻し、2024年以降、延べ宿泊者数は前年同月の数値を上回り続けていましたが、2025年6月、前年同月の人数を割り、減少へと転じました(観光庁のプレスリリース数値で前年の-2.4%)。


しかし、この内訳を見ると、2024年以降のほとんどの期間で、日本人宿泊者は前年同月を下回っており、日本人宿泊者の減少をカバーする形で外国人宿泊者が増加していました。


日本人宿泊者が今後大幅に伸びることは期待できないので、今後も国や各自治体でインバウンドを取り込んでいく流れは加速するのではないでしょうか。
宿泊施設数は増加傾向
宿泊施設の総数は増加傾向にありますが、施設タイプによってその傾向は異なります。旅館業や簡易宿所は減少傾向にあります。
施設数 | 2024.06 | 2025.06 |
---|---|---|
総数 | 66,763 | 70,273 |
旅館 | 18,590 | 17,450 |
リゾートホテル | 2,910 | 3,330 |
ビジネスホテル | 8,880 | 8,090 |
シティホテル | 1,450 | 1,450 |
簡易宿所 | 21,580 | 19,960 |
会社・団体の宿泊所 | 1,650 | 1,660 |
施設の従業員の人数内訳で見ると、従業員が少人数の施設は増加しています。昨今の民泊ブームなどを受けて、比較的小規模の施設が増えているようです。
客室稼働率は好調に推移






どの施設タイプでも昨年の同月比はプラスとなっており、順調に稼働を伸ばしていることがわかります。特に一般的に観光需要が落ち込む1月、2月、6月で稼働率があがる形となっており、特に簡易宿所などは上昇率が顕著です。これもインバウンド需要によるところが大きいと思います。
客室稼働率が特に高かった県は?
最後に、施設タイプ別で最も稼働率の高かった都道府県を見ていきましょう。
都道府県 | 全体 | 旅館 | リゾートホテル | ビジネスホテル | シティホテル | 簡易宿所 |
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2025.01 | 大阪 | 香川 | 千葉 | 東京 | 北海道 | 大阪 |
2025.02 | 大阪 | 宮崎 | 千葉 | 東京 | 宮崎 | 大阪 |
2025.03 | 大阪 | 香川 | 千葉 | 東京 | 埼玉 | 大阪 |
2025.04 | 大阪 | 香川 | 千葉 | 大阪 | 京都 | 京都 |
2025.05 | 大阪 | 香川 | 千葉 | 大阪 | 京都 | 大阪 |
2025.06 | 大阪 | 北海道 | 千葉 | 大阪 | 大阪 | 大阪 |



…確かに、こうしてみると特に春以降は大阪の無双感がすごいですね…



万博開始の4月以降、ビジネスホテルやシティホテルでも関西圏が独占していますね。地域差が生じていることの裏付けと言えるでしょう。