旅行業の登録を行う際に検討すべき事項の1つが旅行業協会への加入です。
旅行業協会への加入は必須ではありません。旅行業協会に入会すると、保証金の供託額の負担が減るという点でメリットが大きいですが、入会には入会費や年会費が発生します。
また、2つの旅行業協会(ANTA・JATA)があるため、加入する場合にはどちらの協会へ入会するかも検討しなければなりません。
そこで、2つの旅行業協会の違いを整理すると共に、旅行業協会への加入率やどちらへの登録が多いのかをまとめました。旅行業協会への加入検討に役立てば幸いです。
2つの旅行業協会
観光庁長官により2つの旅行業協会が指定されています。一般社団法人日本旅行業協会(JATA)と一般社団法人全国旅行業協会(ANTA)です。
それぞれの協会の違いを検討する際には、次の2つの要素が主な比較ポイントになるでしょう。
①入会金および年会費の違い
②受けられるサービス内容の違い
まず費用面ですが、入会金は旅行業の種別によって異なるものの基準額が800,000円となっており両協会で概ね同水準となっています。年会費は全国旅行業協会の方が安いです。詳細は下記リンクよりご確認ください。
受けられるサービス内容の違いについては、旅行に関する情報発信や研修・セミナーの開催など、おおよそ変わらないと考えられます。サービス内容についても上記リンクより確認可能ですので、ぜひ一度見てみると良いと思います。
実際旅行業協会にはどれくらい加入している?
新規事業者にとって旅行業協会に加入する最大のメリットは弁済業務保証金の納付による営業保証金供託の免除であると言えますが、実際どれくらいの人が加入しているのでしょうか。旅行業の種別によって異なりますが、おおよそ以下の割合となっています。
旅行業の種別 | JATA | ANTA | 未加入 |
---|---|---|---|
第2種 | 3割前後 | 5割前後 | 2割前後 |
第3種 | 2割前後 | 3割前後 | 5割前後 |
地域限定 | 数%程度 | 2割前後 | 8割前後 |
営業保証金の金額が少額になる旅行業種ほど、旅行業協会への加入率は下がります。
地域限定旅行業の場合、旅行業協会に加入せず営業保証金を供託したとしても最低金額は15万円となっていますから、旅行業協会に加入するよりも加入しない方が初期費用が安く済むというのもあります。
2つの旅行業協会、どっちに加入すべき?
さて、2つの旅行業協会についてはおおよそ把握できたかと思います。どっちに加入すべきなのか、こればっかりはケースバイケースとなりますので、一概にどちらが良い悪いということは言えません。
概ね下記の傾向が挙げられますので、自社の状況を勘案しながら比較の参考にしていただければと思います。
・2つの協会を比較すると全国旅行業協会(ANTA)への加入者数が多い
→年会費がANTAの方が安いことが一因と考えられます。
・JATAには海外旅行などを取り扱う比較的大きい旅行会社が、ANTAには中小旅行会社が加入する傾向がある